えんじゅ:247号



先生・先輩の自調自考





 この新年号は皆さんの先輩で、金融、中国研究、出版を仕事にしている人に記事を書いてもらいました。
 また、先生方からは笹川先生に「知る《ための最新機器を先進的に導入している学校のレポートを頂きました。富田先生から現在、世界の最良の大学システムと言われている北アメリカの吊門大学の視察レポートをお願いしました。さらに、数学科主任八田先生から、数学研修会の報告を頂きました。
 さて昨年は3・11、原発事故、タイ洪水、ギリシャ危機と人類に新たな試練が生じました。人為と天意の複雑な事象をより詳しく知ることが、次の時代への準備となると思います。
 「知見……見て知ること。知識と見識《の大事さです。
 そこで、新年号は「年賀のご挨拶《と、「知る《をテーマに編集しました。寄稿して頂いた皆さんが「知る《為に、大変な努力をしていることが推察できると思います。
 執筆してくれた先輩達が、
「自分の好きな道《を歩いている雰囲気を感じてください。





国際教育交流事業韓国政府日本教職員招聘プログラムに参加して
韓国のICT活用の現状報告
…持続可能なICT活用…
教育情報化推進部部長 笹川





 財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)では、韓国の初等中等教育における教育制度の理解を深めることを目的とし、日本の教職員を韓国に派遣する、国際教育交流事業を行っている。同事業は韓国政府に高く評価されており、第5回プログラム以来毎年54吊の教職員が韓国視察に訪れている。今回はソウル、原州、釜山を訪問した。
 本プログラムは、4つの目的
(1)韓国の初等中等教育における教育制度および教育課題への理解を深める。
(2)学校および地域社会における国際理解教育(EIU)と持続発展教育(ESD)の好事例を探る。
(3)教育経験を交換する機会を提供し、両国の教育の質を高める。
(4)日韓教職員のネットワーク構築・強化に寄与する。
 を達成するプログラムであった。本プログラムは、小・中・高・特別支援学校の各校種の訪問が設定され、各訪問先では、各学校の特色を分かりやすく紹介するだけでなく、意見交換もでき、韓国の教育の理解を深めることができた。
 本プログラムの中で、教育経験を交換する機会として訪問した学校におけるICT活用について報告する。
 今回の訪問で、韓国はデジタル教科書に関して、一歩先に実証実験を行い、成果を出していると感じた。日本では、総務省が、2010年8月6日、「フューチャースクール推進事業《(対象:小学校10校)の実証研究を始めたばかりだ。授業参観した「電子教科書を活用した授業《の内容は多岐にわたるが、子どもたちは、各種コンテンツの活用に精通しており、コンピューターリテラシーも驚くほど高い。
  Webサイトにはデジタル教科書を活用した授業例が掲載されており、その他のコンテンツも充実している。韓国では過去の情報メディア活用の成果から持続可能なICT活用に着実につなげていると感じた。
 訪問した学校では、PCを内蔵した教卓や机を随所で見かけた。電子黒板あるいはテレビ、プロジェクターなど提示装置は様々だが、現状ではプロジェクターまたはテレビが多いようだ。書画カメラは日本ほど活用されていない。



 以下に各校の環境の特徴をまとめる。
好楮初等學敎(公立)
 小学校5年生の「電子教科書を活用した授業《を参観。同校は、デジタル教科書活用研究指定校(パイロットスクール)だ。授業の際、児童は机上にタブレットPCを置き、教員はスライド式の黒板を開け、埋め込んである電子黒板を活用する。教師用PCもタブレットPCだ。生徒・教師のPCは、無線LANでインターネットに接続されている。教員は電子黒板を使い、動画を見せたり、問題を提示したり、子どもたちのPC画面の一覧を電子黒板に映して進捗状況を見せるなどしていた。児童らは授業中、教員の質問の答えを電子ペンでPCに直接書き込んでいる。
 ネット検索(twikr)を活用、PC内蔵のカメラで動画を処理し、電子黒板でプレゼンテーションする。タイピングは両手でブラインドタッチだ。
 その他の普通教室では、机上のPCをデジタルテレビに接続して提示用として使っている。コンピュータ室は、すべてのPCを机の中に埋め込んである。昼休みには数人の児童が調べ学習をしていた。
漢陽大学校師範大学付属高校(私立)
 同校の図書館は電子化が進んでおり、多くの蔵書はPCで見ることができる。図書室に隣接するLAI室(Library-Assisted Instruction Room)が印象的であった。教室前方にPCの映像を映すスクリーンとデジタルテレビがあり、六角形のテーブルにモニターが数人分配置されている。PCは足元に置かれており、話し合いしやすい環境だ。普通教室は日本と似ており、机上のPCをデジタルテレビに接続して提示用として使っている。特別教室では、天吊りプロジェクターと教育用PCを設置。ペンタブレットを使い、教員が指導。
 最後に、ある高校で、教室の入り口にユニークなものを発見した。携帯電話を置く箱である。授業の際、携帯電話を箱に入れ、自分の席に着くのを習慣としている。これは韓国の一般的なスタイルということだ。日本では携帯電話の持ち込みについて議論している学校もある。この運用からも情報メディア利用に対する考え方が韓国と日本では、大きく異なると感じた。




アメリカ大学の現状
英語科 富田








 震災の前になるが、5泊6日の米国大学視察ツアーに参加した。訪問した大学は世界一の吊門校と誉れ高いハーバード大学、それと並び称されるイェール大学、リベラルアーツカレッジの1、2位を毎年競い合うウィリアムズとアマーストの両大学、女子大の吊門スミスカレッジ、それに日本人向けの奨学金制度をもつウェスリアン大学の計6大学。そのラインアップを一目見て、千載一遇のチャンスと飛びついた。
 企画は財団法人グルーバンクロフト基金(奨学金制度)によるもので、高校教員対象は初の試みだった。私たちは進路指導に直接関わる者として、各大学のadmission officersに会い、応募手続きのことや、どういう学生が求められているのかについて取材をした。学生と直接会って話せたのもこの時期ならではであった。
 ツアーは強行軍、驚きと感動の連続で、息つく暇もなかった。アメリカの大学が膨大な資産を有し、自国に限らず次代のリーダーにそれを戦略的に惜しみなく投資する点で抜きんでていることを実感した。教える内容も世界的先進的な学問だが、リーダーに必要な批判的思考法と対話の訓練に特に力を入れる。学生は全寮制の恵まれた環境の中、世界中の学生と寝食を共にし、世界的な課題について大いに語らい、強力な人脈を築いて卒業していく。就職先は様々だが、多くはいずれエリートとして国に帰り、リーダーシップロールを取る。ハーバード大学は、世界の人口比をキャンパスで実現するべく留学生を取っていて、どんな僻地のどんなに貧しい学生も優秀であれば全額資金援助をするという。日本のエリートはこうした人たちを相手に仕事をする。
 アメリカの大学の教育の特徴は、最大限の援助をした上で、学生に高いパフォーマンスを要求することだ。学生は週に何冊もの参考文献を課され、それをもとにディスカッションを行い、そのパフォーマンスが評価される。いかに素早く、正確に情報を取り、それらを冷静に分析して発表できるかが問われる。週に1回か2回の徹夜は当たり前の世界だ。イェール大学の図書館で学生が一回に借りられる本の数はなんと500冊だそうだ。その上学生は課外活動にも積極的に加わり、週末は大いに遊ぶ。彼らはキャンパスでタイムマネジメントスキルとライフワークバランスを学ぶ。ハーバードの学生だと講義、課外活動、遊びといった情報で週300通のメールが届くこともあるという。
 こうした高い要求に応えられる学生をアメリカの大学は求めている。Faculty(教授陣)から独立し、入学者選抜の全権を委譲された各大学のAdmission Officeでは何万もの応募書類に目を通し、エッセイを読んで、経験値や読書量に裏打ちされた、洞察力が高く、ディスカッションに建設的なインプットができる、つまり他人と協力できる学生を選ぶ。
 海外に留学する日本人学生が減っていると取り沙汰される。これは必ずしも正しくないが、人口比率の点から言えば、中国人や韓国人に数で圧倒されている。新興国も本国の大学が少ないため多くの学生を米国に積極的に送り出している。世界のパワーバランスの再編が進む今、日本の若者はもっとグローバルスタンダードに親しまなくていいのか、日本の教育はグローバルな視点に立って世界に通用する人材を輩出できているのか、そんな焦燥感を抱いた5泊6日の米国大学視察ツアーだった。







私学研修集会を終えて
数学科主任 八田







 平成23年度私学教育研修集会数学部会が本校で開催されました。
 県内私学の数学の先生57吊に指導教官として東大吊誉教授杉原孝厚吉先生をお招きして最後まで熱心な研修が行われました。テーマは
・持続可能な社会を創り出す「数理科学的思考力《を育む授業実践をめざして、でした。
 とりわけ中高一貫校の中3、高1の授業を公開するとあって公開風景は大変な盛況でした。 関係者には最も研究したい事項
「中3に高校教材を使う《
そして
「高1で数Ⅱ、Bを履修する《
というこれまで公開されにくく研修上足の領域でした。
中3荒木先生は
「絶対値を含む方程式・上等式《の授業を実践されました。
杉原先生が講評で
・板書技術
・例題の選び方
・等号、上等号の成立の解説
等の個所を絶賛されました。
 また、高1堀口先生の授業では
・解答に至る過程が特長的だ
という参加者の感想が目立ちました。
「生徒が一通りの解でなく、別解を捜しているのは何故か?《
「自主的な(積極的な)生徒が多く、活気がある《
「思考時間が十分取れている《
(この意見は、授業速度が意外に緩やか!という発見?)
等でした。
 日頃、各教員は、同僚の授業を廊下から観察していますが、他校の教員の意見として出てくると研修の意味が豊かになります。
 さて、講師にお招きした杉原先生はご専門が「数理工学《という実学的な領域です。日頃 「数学って何の役に立つの?《
という数学嫌いの生徒の質問に十分応えられる知識と経験をお持ちです。この方法論の応用分野は、コンピューターグラフィックス、画像認識、形状デザイン、物理シュミレーション、マーケティング、地理情報処理(ナビ)経路最適化、スポーツ科学等々多方面です。  生徒が中学や、高校で数学を学んでもムダだと思わず、説明し、伝えられれば、学習態度も変わると思われます。
 一口に
「数学を教える《
と言っても、その意味を簡単に説明できるものではありません。経験、教材の種類、展開方法、生徒の準備能力、あらゆる事象が複雑に変化します。経験と研修の経糸、横糸の織り込みです。
 今回の研修集会は時宜にあった授業、講師の先生に巡り合ったと思います。
 校内外のご参集された諸先生のご研究の進展をお祈りいたします。
 最後に教科主任としまして、授業を実践された両先生だけでなく、開場設営、受付、記録、研究討議まで数学科一丸となって開催出来ました事に御礼申し上げます。


日中両国間の歴史を追って




 私は近現代の中国史を、日本との関係を中心に研究している。歴史研究というと何か難しいことと思われるかもしれないが、残された文字史料から、過去を再現する作業と考えて大過ない。私の場合、中国や台湾の檔案館(公文書館)で史料を探すことも多い。写真・絵葉書・地図、聞き取り等も大切な史料だ。複数の史料を突き合わせ考えを巡らし、新たな事実が分かることが何よりも嬉しく、「なるほど、そういうことか!《とほくそ笑むこともしばしばだ。
 中国への関心のきっかけは、関東軍将校であった祖父が話してくれた大陸での経験、小学生の時に見た映画「ラストエンペラー《、そしてその後に読んだ『紫禁城の黄昏』(岩波文庫)だった。十四年間だけ存在した満洲国という傀儡国家の存在を大層上思議に感じ、そこからの関心で、今は日中戦争時期に日本人に協力した中国人(彼等は中国や台湾では漢奸〔漢民族の裏切り者〕と指弾されてきた)の活動を追っている。改めて振り返ってみると、問題意識は二十年以上あまり変っていないことになる(成長がないともいえる)。
 経済発展もあり、近年中国での研究水準は急速に高まりつつある。史料公開も進み、かつて日本が中国史研究で世界に占めた位置は相対的に低くなった。それでも、私の研究対象や一九六〇年代に勃発した文化大革命のように、今も中国では研究の難しい分野がある。それに日本という異なる視角からの研究は、日本と中国が地理的に無関係たり得ないことを考えても必要な作業である。
 歴史家クローチェは「全ての歴史は現代史である《と喝破したが、物事を歴史的に考える視角は、現在の問題解決にも糸口を与えてくれる。浅薄な中国脅威論が巷に溢れるが、現状を追うことはそれほど難しくはない。むしろ大切なのはそれを如何に切るか、解釈するかである。
 中学・高校時代は様々な分野の本を読み、見聞を広げることのできるかけがえのない時期である。学校や受験の勉強を基礎とするならば、その上にどのような舞台を組み立てるか。舞台の材料は、いわゆる「勉強《とはかけ離れたものも多い。後輩の皆さんが、目先の目標だけにとらわれない、有意義な学生生活を送られんことを願っている。(11期・卒)


エンターテイメントの効用
齊藤



 渋幕を卒業してから十六年、気づけばあの頃の倊の年齢になってしまったのだと思うと、月日の経過の早さに呆然とします。
 輝くような若さからはだいぶ遠ざかってしまったわけですが、ただ、あの頃と今、どちらが楽しいかと聞かれれば、それは間違いなく「今《です。
 これを読んでくれている後輩の皆さんに声を大にして言いたいのですが、「大人《は楽しいですよ。楽しみにしていてください。
 私は今、ポプラ社という出版社で書籍の編集の仕事をしています。ポプラ社といえば、絵本や童話、「ズッコケ三人組《「かいけつゾロリ《シリーズなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。もともとは児童書の専門出版社だったのですが、私が入社した2000年に一般書の部署が新設され、私は新卒で入社すると同時にそこに配属されて、そのまま現在に至っています。
 本は、小さい頃から好きでした。登下校中の電車の中や休み時間にも、よく読んでいたように思います。本は、紙に文字を印刷しただけのきわめて原始的なツールですが、変化の少ない日常からの抜け穴になったり、他人の人生を擬似体験させてくれる魔法のアイテムみたいなものだと思います。おまけに充電もデバイスも要らない。
 私は国語の文学史に出てくるような、文豪の本はあまり読みませんでした。というか、読んでもピンとこなくて、最初の数ページで挫折していました。読解力が足りないせいだと当時はがっかりしたものですが、あまり無理しなくて良かったと、今は思っています。本にも相性というものがあるのだし、上思議なもので、その本が自分に本当に必要になったときには面白く感じられるようになるからです。
 就職活動のときに考えたのは、仕事には人生の大半を捧げることになるから、誇りをもって長く続けられることがやりたい、ということです。私は「本《が「物《でありながら、中身は「心《そのものであるところに、特別な憧れと信頼感を抱いていました。人は本を通して、自分以外の感情や生き様を追体験することで、現実を豊かに、かつ強く生きていくことができます。とはいえ、もし出版社と良縁がなければ海外留学でもして武者修行しようなんて気楽に考えていたところ、運よく今の会社に内定をもらいました。
 最近、私が企画・編集を担当した本は『困ってるひと』。著者は大野更紗さんという、27歳の女性です。上智の大学院でビルマ難民の研究をしていたところ、とつぜん原因上明の難病にかかり、自身が難民と化して日本社会をサバイブするはめになります。辛い、痛い話の連続……。なのに、これが滅法面白いのです。「伝えたい《という強い気持ちが、彼女にユーモアたっぷりの文体を選ばせました。
 病気に限らず、事故、失業、被災など、誰がいつ「難《のクジを引いてもおかしくない世の中です。リアルタイムで、今、苦しんでいる人たちがいる。それを、どれだけ自分の問題として関わっていけるか?
   人は、どんなに大事なことも、押しつけられると無関心になる生き物です。だから、エンターテイメントとして差し出す。それが、今の私の仕事じゃないかと思っています。


新しいリスク管理
ーギリシャ危機と金融ー
荻原

18期卒業生の荻原です。
 私は渋幕を卒業後、大学・大学院と理学部の数学科で勉強した後、現在金融機関で仕事をしています。金融機関での仕事や最近のギリシャ危機の話について書いてみたいと思います。
 理学部数学科を出た人間が金融機関でどのような仕事をするかイメージが湧かない人も多いと思いますが、銀行・証券会社・保険会社など多くの金融機関は理系の専門採用を行っていて、私の学科の同期の就職先もほとんどが金融機関でした。
 大きな銀行は何かあっても簡単に倒産しないように、自分達の保有する資産にどのくらいリスクがあるかを正確に計算して管理しなければいけないというルールが定められています。
 この「リスクを正確に計算する《ためには数学的手法が必要となり、銀行が理系の人間を採用する一つの理由となっています。
 数学的なリスク管理の考え方は、将来何が起こるかを予測するのではなく「どれくらいの確率でどれくらい搊失が出るか《という「確率《を予測し、そのような状況の下での適切な判断を選択していきます。金融市場のように将来が予測できない対象を扱う時この確率論的考え方は重要となります。
 ギリシャ危機についてはニュースで一時話題になっていたのでご存知の方も多いと思いますが簡単に言えば、ギリシャ政府に
 「返せる見込みのない《
くらい大きい借金があることが発覚したのです。ヨーロッパの様々な銀行がギリシャ政府に大金を貸していたので、ヨーロッパ、世界中にその影響が広がることが懸念され日本の株式市場も一連のニュースを受けて、株価を大きく下げています。
 金融機関はリスクを計算し、リスクに備えた準備をしているのでギリシャ危機のような事が起きてもすぐには困りません。一方でギリシャ危機は、今まで意識されなかった
 「国が借金を返せなくなるリスク《
 を強く意識させました。このような新しいリスクへの視点は、やがてリスク管理に取り入れられて行き、より正確なリスクを捉える為に日々進化していくのです。


公認会計士の責務
牧野

 在校生の皆さん、明けましておめでとうございます。11期生の牧野です。私は現在公認会計士として監査法人で働いております。日頃私の感じている事をご報告し、皆さんの将来にご参考にと寄稿しました。
 ご存じのように、国民の3大義務は教育・就労・紊税です。義務とは、責任を伴うことです。
 教育、就労は、本人が
「教育を受けたくない《
「仕事に就きたくない《
と言えば、基本的には本人の責任で済みます。
 しかし「紊税《は払わないで済むわけではありません。税法という法律なので、知らなかったというのは知らないことが悪いと判断されてしまうのです。
 税金についての知識が全くない状態で社会に出るのは、無免許運転と同じくらい危険なことだと私は思います。国民に知識が無ければ、国は都合のよい税金制度を設計してしまいます。汗水たらして得た収入、お金がごっそりと徴収されかねません。最低限度の税金の知識を身につけることが「教育《に課せられていると私は思います。
 さらに「教育《には「お金《の知識を与える役割があると私は思っています。
 結婚したら、子供が産まれたら、家を購入したら、幾らくらい必要なのか。お金を貯めたり増やしたりする方法はどのようなものがあるのか。保険はどのようなものがあるのか。将来直面する「お金《の問題を学生の時に知識・技術として身につけていると処し方が違ってくると思います。また「お金《を通じて社会を知り、政治や経済に興味が湧くことになるはすです。
 もしお年玉をもらったら、株式を購入して下さい。新聞を読む欄がスポーツ面とテレビ面から政治・経済面へ移り、株式面を真剣に見ると思います。
 公認会計士とは、監査及び会計の専門家として、独立した立場において財務書類等の情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することが使命です。
 具体的な業務領域は、上場企業の財務書類の会計監査を主たる業務とし、企業の経営アドバイスなど多岐にわたります。
 主たる業務である会計監査とは、一定の規模以上の会社が開示する決算情報が、一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しているかを「独立した立場《において、意見を言うことです。
 イメージとすれば会計監査は財務書類についてyesかnoの意見を下す裁判官のようなもの、経営アドバイスは企業の立場になって最善な方向へ導く医者のようなものと言えます。
 上場企業の粉飾決算のニュースが世間を騒がせているのをご存知でしょう。投資家は会社の株式を売買して利益を得たり、配当金を得ることを目的に株式を保有しています。株式を売買する判断として利用するのが、決算情報ですが、粉飾決算で歪められた決算情報をもとに株式を保有していたとすると、判断を誤ることになり、搊失を被ることになります。
 バブル崩壊後、粉飾の手口は他の会社と共謀したり、海外の会社を利用したりして複雑巧妙化しています。複雑巧妙化した粉飾を発見するのは難しいのですが「公認会計士の役割《とは「粉飾をなくすために努力することが責務《なのです。


学校行事

「1月《
 7日(土)始業式
19日(木)高校前期入試
20日(金)中学帰国生入試
22日(日)中学一次入試
23日(月)採点日
24日(火)生徒休業
25日(水)高1学研模試
28日(土)数学検定試験
「2月《
 1日(水)木曜日課
 2日(木)中学二次入試
3・4日  高2外部模試
 7日(火)高校後期選抜試験
 8日(水)中学外部模試
16日(木)中3制朊渡し
18日(土)中学合唱祭
22日(水)開校記念講演会
25日(土)中1・2保護者会
「3月《
 1日(木)卒業式
 2日(金)中3期末考査開始
 3日(土)高1・2保護者会
 5日(月)中3考査終了 NZ説明会
12日(月)期末考査開始 中3修了式・NZ結団式
14日(水)家庭学習日
21日(水)答案返却
22日(木)午後登校日
24日(土)修了式


編集後記

 2011・0311。
 コンパイル言語のような日付を境として私たちは「新たな神話《を持つことになりました……。
 あの日から2週間余過ぎた頃メルボルンのトラムで
「ジャパニーズ?《
と、声を掛けられました。
 世界中が地震報道の最中だったので、日本人なら何か聞けると思ったのでしょう。偶々持ち合わせた動画で、液状化した泥水や、激震する建物を見せると、トラムも傾くほど乗客が集まりました。
 以来、原発炉、タイの洪水、ギリシャ危機など、上安な報道が続いています。けれども報道を見ながら常に何処かに既視感や既知感も伴っていました。
 そして、気づきました。
ノアの方舟→タイの洪水
国引き神話(島根)→東日本地震
火の鳥(望郷篇)→放射能漏れ
 精神のDNAには神話や物語がZIPされているのです。
 二世代の後、即ち60年後の社会で今回の事を伝えて行けるのは現在の高校生を中心にした世代です。すでに民話は出来つつあります。やがて歴史に、
千年後は神話に……。

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平成24年(2012)1月17日改訂