えんじゅ:253号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCXXXXW)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


 7月、文月フミツキ。8月、葉月ハヅキ。いよいよ夏の季節。季語に云う初夏、仲夏、晩夏の三夏の時。
 学校の平成24年は、1学期を終了し、夏休みを迎える。
 地区別父母との懇談会(前期報告書参照)、授業公開研究授業、メモリアルコンサート(高3関根ソプラノ、高2小泉ピアノ共演)、中学研修(野田・鎌倉)、歌舞伎教室(高1)、オペラ鑑賞教室(高2)で1学期は幕を閉じた。
 群青ぐんじゃうに雲く 朱夏の国大和
                  太田鴻村
 生徒諸君は、毎日の生活の過ごし方の主導権を学校から取り戻し1人1人が自分の持ち時間をどのように使うかを自由に決める夏休みに入る。  毎日ほぼ10時間に余る時間がある。期間は6週間。
 「家の作りようは夏をむねとすべし」(徒然草・兼好法師)とあるように、高温多湿の日本の夏は、その過ごし方に最大限の「自調自考」を必要とする。
 そしてこの夏の過ごし方によって、2学期以降又はその先迄含めた学校生活に大きな影響をもたらすものなので、充分に自覚自重して、実りある六週間にしたい。「習慣は第2の自然である」(モンテーニュ)と云われるように大切なのは夏休み中の生活習慣が正しく身につくかどうかが問われることだ。ここで「努力によって得られる習慣だけが善である」(カント)という言葉の示す努力によって得られる善とは何かを考えてみたい。
 串田孫一(1915〜2005 詩人・哲学者 山の随筆が有名)の言葉に「若いうちは何かになりたいという夢を持つのは素晴らしい。しかし同時にもっと大切なこととして、いかに生きるかということがある。日々の行いを選び積み重ねること、その努力こそが良い習慣を身につけさせ、人生の行方を定めるのだ」とある。又最近の脳科学研究で、「目的が最初にあって行動が生まれるというわけではなく、目的とは多くの場合とった行動に対して脳が後から付ける理屈のようなものだ」ということがわかってきた。つまり脳の働きからみれば、とりあえず行動があって、その後に目的や成果がついてくるということになるわけだ。
 何よりも行動、そしてそれを支える善い習慣。
 今世界はEU(欧州連合)の通貨危機による解体の危機を巡っての議論が沸騰している。その最中にEU中核国の一つ「フランス」で大統領選挙がなされサルコジ前大統領に代わって、オランド社会党第1書記が就任した。フランスでは大統領に就任すると直ぐ、自分の尊敬する人物にオマージュ(賛辞)を捧げるという習慣がある。ミッテランは平和主義者ジャン・ジョレス、そしてシラクはドゴール。オランドの選んだ人物はジュール・フェリーだった。現フランスの教育の根本の制度ライシテの原則(宗教からの独立)を確立し義務教育、女子教育に力を入れ第3共和制下で活躍した政治家を取り上げたのはオランドが政治の重点に教育を考えているからだと云われている。
 一昨年英国のキャメロン首相はその就任演説で「教育」を重視し、「自由」「公正」「責任」を教育に求めると主張して話題をよんだ。今世界は若者達の教育を最重要視している。
 自調自考生よ、心して夏休みを過ごしてほしい。




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平成24年(2012)7月20日改訂