四月、卯月。卯の花の咲く月の意。『日本の七十二候を楽しむ︱旧暦のある暮らし』(白井明大・有賀一広)には日本人が「古来より何を大切にしてきたか、自然からどれほど恩恵を受けて生活を営んできたか、何に暮らしのよろこびを覚えどのように収穫に感謝してきたか」をしっかりと伝え受け継いできたことが紹介されている。一年の四季をそれぞれ六つの節気に分け、さらにそれぞれの節気を初候、次候、末候の三つに分けて七十二の季節とする。「入学式」は年の初め「春」の六節気、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の五番目の清明の初候に行われている。
日本で咲く花の大部分が咲き乱れる、一年中で最も気持の良い季節と重なっている。「春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ少女」(大伴家持・万葉集巻十九)の名歌はこの季節の日本人の気持を表す。
世界を揺るがした東日本大震災被災の影が重い中での「入学式」。オバマ大統領から日本人及び日本文化について「驚くべき不屈の精神(extraordinary fortitude)」と賞賛された私達。ここで気を取り直して、若者達の新しい出発を祝おう。
入学の子の顔頓に大人びし
高浜虚子
ここで中学高校生生活について述べてみたい。
哲学者和辻哲郎は「人間」という言葉を「人」と「間」に分け、人を個性と説明し、間を社会として、その両者のバランスで「人間」が完成するとした。
中高生時代は「人間」が出来上っていく重要な時期、人として出発していく出発点であるから、それぞれがまず「自己をしっかり見極める力」を身に付け、「自己の周りと外をはっきりと見渡せる力」を自分のものにする努力が必要である。
この「力」を身に付ける為に、学校、授業を通しての「学習」が用意されている。
目標とする「人らしさ」とは、「夢を考え、計画してその為の準備をすることが出来る」ということである。この人のみに可能な能力は、人の脳の前頭葉の働きであり、最近の研究では脳奥深くにある側坐核(人の睡眠をコントロールする)の働きが人の意欲に深くかかわっていることも明らかになってきている。更にはこれ等の脳の働きは、人間の成長過程にあっての「自立期」(一次・二次とあって、二次期は中学高校期と重なる)に大きく成長変化していくと考えられている。適切、必要な学習訓練が適時に果たされることで脳の働きに大きな影響を及ぼすこともはっきりしてきている。
人の脳は860億といわれる膨大な数の細胞で構成され、そのごく一部を使っただけで人は一生を終えるという。脳を鍛えよう。
又、青年達にとっては「自己の周りと外」という所謂「社会」とは、これから具現化される「将来の社会」のことで、必要なのは、正確な時代認識と予見能力、そして文化の理解。文化とは社会の運営を確定するもの=コンピューターのOSの役割を果たすもの=である。人の生活の型を意味する文化は「教養」とも訳される。教養は「人間が自分の生き方を自分で考え出す力」を意味する。若者達よ、この時期に沢山の「教養小説」を読み多様な芸術に触れ、自分で考え、感動する力を不屈の精神で育てよう。
自調自考生どう考える。
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