えんじゅ:131号校長先生講話 |
|
|---|---|
「自調自考」を考える(そのCXXTX)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
|
|
渋谷幕張中学・高等学校の2学期が終了する。 いよいよ冬休みに入る。 この時期、12月小春日和(インディアンサマー)と北颪で本格的な寒さを迎える準備の時となる。 晴天が多く、独特のキッパリした風情が緊張感を高めてくれる。1年の締めくくり野津期ということ で陰暦の月名「師走」にふさわしく急にあわただしくなるが、特に今年はミレニアムということで、 2000年問題が騒がしく論ぜられて落着がない。然し12月は四季の果てる月《四極》の意も あって、祭り事の少ない、心静かに長夜の時間を読書に耽るにふさわしい時でもある。冬休みを どうぞ実りのある時間にしてほしい。 又12月は英語で「December」。ローマ暦の10番目の月を意味する「Decem」が語源。ローマ暦は 新春3月にはじまるので10番目ということになる。そのローマのヴァチカンでは今千年至福= ミレニアム(キリストがこの世を支配する1000年の期間。地上には世界の平和と正義の勝利が 実現する。キリスト教徒にとって聖典は旧約と新約があるが、新約聖書はイエスの死刑=紀元30年 ころ=から300年もかかって出来上がる。原典はギリシャ語。マルコ、ルカ、マタイ、ヨハネの 四福音書等27文書が聖典とされ、その中のヨハネの黙示録20章の『千年の間』Chilia eteに基づく 終末思想)で大わらわだという。ヴァチカンの歴史的建造物は一斉に補修、清掃中でサンピエトロ 寺院も美術館も入場禁止になっている。又ロンドンのミレニアムドームも有名。私達は、どちらかと 云えば西暦2000年を来るべき21世紀の最後の年と考えることが多いのであるが、どうも欧米は 違うようだ。 私達は今20世紀が終わるということで20世紀を回顧する事が多い。大変革とスピードの世紀として。 2つの大戦、大量殺人兵器、植民地支配と民族主義の台頭、社会主義の出現とその崩壊。特にその間 の科学技術イノベーションとエネルギー革命のスピードには人類の将来の予測を暗いものにしかねない ものが含まれている。まだ人類は充分にコントロール出来ていない核エネルギーと環境汚染の問題は その代表であろう。私達は人生において、目的と目標は違うものであることを知っている。目標は 例えば希望する大学に入るといった類のものである。成功すれば目標は単なる記憶に変わる。 一方目的とは、人生を通じて色褪せることのないものを云う。「何の為に生きているのか」といった 精神としても¥の目的がそれである。B・ラッセル卿(英・哲学者)はこれを"to do"と"to be"と 説明している。そして心の状態を表す。"to be"を重視することを強く説く。20世紀の物凄いスピード が不安となるのは、人生を目的を持たず目標のみを求めて生きる人達への警告なのかもしれない。 そして100年単位(世紀)でなく1000年単位(ミレニアム)で人生の生き方を考えることも大事 なことになるのでは。 |
|
![]()
|
|
| えんじゅ表紙へ | |
![]() |
|