えんじゅ:131号

第43回

 日本学生科学賞 


 日本学生科学賞は,戦後日本の復興期に科学教育の振興を願い,未来の優秀な科学者を生み出すため,昭和32年に創設された。現在は全日本科学教育振興委員会,読売新聞社主催,文部省,科学技術庁,環境庁後援で行われている。理科教育に基づく中学・高校生の公募コンクールとしては国内で最も伝統と権威のあるものである。

 9月から10月にかけて各都道府県の地方審査会として行われた千葉県児童生徒・教職員科学作品展科学論文の部において,本校3年C組村野さんが「超簡易法によるダイヤモンド合成の研究 試験管法の確立と合成条件」で千葉市教育長賞,3年E組千田さんが「生命誕生の起源 アミノ酸生成の試験管内シミュレーション」という論文で千葉県総合教育センター所長賞を受賞した。

 その後地方審査会を経た最優秀作品が集められて行われた中央審査会の結果,千田さんが内閣総理大臣賞を受賞,村野さんが入選を果たした。

 千田さんは「ミラーの実験」を学校の実験室にあわせて簡易法で試験管内に再現することに成功した。この「ミラーの実験」は,原始大気のイミテーションを作り,放電を行うことを1週間持続したところ,アミノ酸を見いだしたというもので,メタン・窒素・水などの無機物から有機物が合成されることを証明したものであり,地球上の生命誕生の過程における大前提となる実験である。

 村野さんは東海大学広瀬研究室との共同研究で,試験管内に,メタノール蒸気を満たし,1気圧の下でダイヤモンドを合成する実験を行った。炭素化合物を熱分解してダイヤモンドを生成するという理論自体は周知のものであるが,村野さんの実験はこれを教室で試験管を用いて行うという点が画期的であり,11月下旬に早稲田大学で行われた「ダイヤモンドフォーラム」という学会でも発表された。

 また,千田さんは来年5月にアメリカ、デトロイトで行われる国際学生科学技術博覧会へ日本代表として派遣されることが内定している。この博覧会は全米50州に加え,世界50ヶ国から毎年15〜18歳の参加者1200名が集まる世界最大の青少年のための科学イベントで,ノーベル賞受賞者5名を始めとする世界的科学者を数多く輩出しているものである。

 2人は盛口先生,高田先生の指導のもとで試行錯誤を繰り返しながら実験を行い,今回の受賞に結びついた。自己のテーマをとことん追究する姿勢は幕張生ならではのものであるといえよう。


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平成12年(2000) 1月19日改訂