えんじゅ:138号

第16回 槐祭
しぶまく畑 〜収穫の秋〜
9月14日(木)・9月15日(金)

   【 中 学 】

 演劇『黒の祭壇』(中学演劇部)

 今にも泣き出しそうな薄暗い 空模様とは対照的に、中学校舎 は明るい笑顔があふれ、黄色い 歓声が飛び交い、すさまじい熱 気に包まれた。これは単に来客 が多かったことが原因ではなく、 本校の生徒が槐祭という「祭」 を自らのエネルギーの発揮の場 と心得、それを昇華し尽くした からにちがいない。

 演劇『古畑任三郎』(2−5)

 とかく「祭」とは非日常、す なわち日常生活からの脱却とい われがちであるが、本校におい ては明らかに日常生活の延長線 上、もしくは学校生活における 通過点の1つとして存在してい る。企画のほとんどがクラス単 位又は部活動であることがそれ を物語る。そこには担任あるい は顧問の指導があり、全員参加 が暗黙の了解となっている。に もかかわらず、いわゆる「シラ ケタ」生徒は見当たらない。全 員が自分達の企画に自信を持っ て一生懸命に取り組んでいる。 しかも一人一人がそれを心から 楽しんでいる。だからこそ、た くさんの来客の期待感と相まっ てすさまじい熱気を生み出した のであろう。

 モンキードミノ(1−2)

 ただ、企画の内容に関しては 文化祭実施大綱に謳われている 「日常の教育活動の発展」とい う視点から見ると、少々物足り なさを感じたのは筆者だけでは あるまい。クラス企画を例にと れば、中3の学年演劇発表会が 恒例になった今、学年別、ある いはフロア別に統一性を持たせ るなどの工夫があってもいいの ではないだろうか。

 中3演劇発表会より『LIFE』(3−1)

 とまれ「祭」は終わった。生 徒達が自分自身の手で育て、収 穫した作物は豊作だったようで ある。

 そして何よりも生徒達が収穫 の喜びを知ったことが貴重であ る。この喜びを胸に秘めた生徒 たちが、収穫を終えた「しぶま く畑」をこれからどのように耕 していくのか楽しみである。

   【 高 校 】

 茶室にて

 曇天。台風の影響が懸念され た1日。校舎内が来客でほぼ埋 めつくされた正午前、はたして 雨が…。けれどもそれは非情の 驟雨とはならず、地面を黒くし 木々の葉を光らせただけで済ん だ。例年ライトコートを舞台と する団体は勿論のこと、5年ぶ りに飲食団体が復活、第2グラ ンドに焼きそば・お好みの幟が 立ったのだ。おまけに今年も6000 という来客を得て、場所にも 時間にも間隙というものが存在 しない。会心の秋晴れとはいか ないが、まずは天の恵みであっ たのだろう。

 夢工房(1−F)

 渋幕畑の豊作に向けて今年は 実行委員会が土まみれ、汗まみ れの健闘を見せた。ここ数年来 高校校舎はお化けの迷い路とい った様相を呈していた。審査を 通った企画の筈がいつのまにや らバタバタと倒れ、当日そのユ ーレイたちがそこら中を闊歩す るのである。今年は実行委の呼 びかけが浸透してか、看板(パ ンフ)に偽りなし、それぞれの 団体がそれぞれの個性を演出す べく真撃に取り組めたのではな いだろうか。

 ケミカル・ハザード(化学部)

 文化部の活動が安定し、講堂 で1日過ごすだけでも槐祭を楽 しめる。理科棟では物理・生 物・化学の各実験実演コーナー。 『自調自考』作品展示、啓発室 では早稲田大学ディベート部を 招いての舌戦(一勝一敗)。中庭 の吹き抜けに響き渡る音楽部の コーラス、室内楽部の演奏。図 書館二階の古本市を冷やかしな がら体育館に渡ればドリル、そ してバンド。聞けば中学3年の 学年演劇(講堂)も定例になり つつあるというし、既に収穫祭 には量質ともに盛りだくさんの 作物である。

 焼きそば いかがすかーぁ

 その上での高校のクラス参加 がどうあるべきなのか。しばら く模索は続くのだろうが、実行 委の振り入れた一鍬は来期の実 りにきっと生きるだろう。


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平成12年(2000)10月19日改訂