えんじゅ:142号校長先生講話 |
|
|---|---|
「自調自考」を考える(そのCXXXX)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
![]() |
|
2月、如月光の春のいま、渋 谷幕張中・高校の新入生達が決 定し、3月、弥生、自調自考の 体現者である16期生を、21 世紀の最初の卒業生として世 に送り出す。 冬薔薇の長き愁眉を開きけり 有馬 朗人 新しい出発を寿ぐように、記念講 堂の前庭には、薔薇の新春の薫りが馥郁とただよって いる。扨、21世紀の最初の卒業生諸君にとって、 これからどんなことが待っているの か、そこでどのように生きていくべ きかを考えることはまことに重要なことで、 更にこれは現在の中学・高枚生諸君にとっても、 重大な課題を提供してくれるテーマでもある。 まず大学のこれからを考えて みよう。大学の目的は、1923年に 刊行された「大学の理 念」(Die Idee der Universitat)の 中でヤスパースが指摘したよう に@職業のための専門教育、A 広い視野に立つ人間教育、B学 問研究の3つで、更にこれは 個々ばらばらでなく、有機的に 一体化していなければならない とされている。 我国においても98年「21 世紀の大学像」答申の中で 「教養教育の重視、教養と専門 的教育の有機的連携」が強調さ れ、教養教育の理念として「学 問の裾野を広げ、様々な角度か ら物事を見ることができる能力 や、自主的・総合的に考え、的 確に判断する能力、豊かな人間 性を養い、自分の知識や人生を 社会との関係で位置付けること のできる人材を育てる」とした のはまさにこの原点としての大 学の理念を確認したものと考え る。そして答申は続けて「各大 学は、特定の分野に偏らない広 い視野を持った学際的な人材を 育成することが最重要課題」と し、その為に「学部や学科の枠 を越えた横断的な教育課程を編 成して提供したり、学生が所属 している学部・学科の枠を越え て授業を選択でき、履習できる 仕組を整備充実すること」と述 べている。(大学間連携) こうした指摘の背景には、社 会の急速且つ急激な変化があ る。まず交通・通信手段の著しい 発達による、あらゆる分野で のグローバル化、結果としての 世界基準による活動の必然性が ある。加えて急速な物質文明の 進化がもたらした地球規模の環 境・資源エネルギー問題の深刻 化がある。これ等の問題解決に 向け、社会は否応なく知的集積 体としての大学に、教育研究を 通して、問題解決の為の人材供 給と助力を求めている。 大学はもはや閉鎖的自己満足 的なアカデミズムに漬かってい ることは出来ず、人類史的な課 題への対応が求められている。 (大学のアカウンタビリティ) これからの大学生はダブルメ ジャーと云われる専門の複数履習 (君達の先輩のオックスフォード 大生は音楽と数学)やIT・複 数の外国語そして日本人の民族 伝統文化等が必須となろう。世 界に通用する日本人の教養教育 ということ。そこで自調自考の幕 張生諸君。17世紀デカルト(仏 哲学者)からと云われる理系・ 文系の区分けを日常の学習でそろ そろ超えてみたらどうだ。
|
|
![]() ![]() |
|
| えんじゅ表紙へ | |
![]() |
|