平成十七年、二〇〇五年、渋
谷幕張中学高等学校の二十二期
生を迎えての希望にみちた新学
期がはじまっている。
〈大いなる春というもの
来るべし素十〉
二十一世紀も五
年目に入り、二十
一世紀からの留学
生である生徒諸君
にとって、将来の
目標を明確に確立
することの難しさ、
多様性Diversityの
姿がいよいよ明ら
かになってきたの
ではなかろうか。
成熟した先進国の
大学では、今どこ
でもこうして生ま
れてきた多様化す
る教育ニーズに対応することに
苦しんでいる。
昨年四月に実行された我国の
大学改革「国立大学の独立大学
法人化」は、こうした状況を受
けてのものであった。
この四月、日本を代表する大
学の学長式辞ではこうした困難
な時代に生きる若者への励まし
の言葉として次のように述べら
れている。「ゲーム、携帯音楽、
コンピューター等、ひとりの世
界に閉じこもって人と関係を持
たないということは、人生を生
きないということに近い」「深く
学ぶと同時に、全体像を把握し
ないとビジョンを描けない。『本
質をとらえる知』『他者を感じる
力』そして『先頭に立つ勇気』
をぜひ育んでほしい。」
この時代に生きる若者達への
重要なメッセージである。
ところで、今年は「世界物理
年」である。丁度百年前一九〇
五年、アインシュタインが、「相
対性理論」「光電効果理論=量
子力学を生み出す。」そして「ブ
ラウン運動理論=分子の存在を
証明した」の三つの論文を一挙
に発表した奇跡の年と云われる
年であったことを記念して定め
られた。
又今年は二月十六[に「京都
議定書」が発効した歴史的年に
もなる。地球温暖化の原因とさ
れる、に酸化炭素CO2をはじめ
とする温室効果ガスの排出削減を先
進国に義務付けるものだ。世界
最大の、二酸化炭素排出国である
米国が参加していないという問
題はあっても、先進国が削減数
値目標を自らに課したことは画
期的なことである。(尚、先進国
以外の国々は、国連=ユネス
コ=が主導する「持続可能な開
発教育」を普及徹底することゝ
なっている。一つまり、地球温暖
化という現象に対する科学の世
界の判断が、「国々の協定」とい
う形で人類社会で「実行」され
るということの意味を考えると
二十一世紀は「知の世紀」であ
ると云われることが納得出来よ
う。
地球温暖化というような利害
の及ぶ範囲が極めて広い問題が、
「科学の理論」によって、政策が
作定され受け入れられたことは
これからの人類社会を暗示する
出来ごとである。
ところで最近、「カソウケンに
ようこそ」一内田麻理香著、渋幕
八期生=講談杜)を読んだ。筆
者は東大で化学を学び研究者と
して、家庭の主婦として活躍し
ているが、家庭生活と化学の世
界のかゝわりを興味深く述べて
いる。云く「メイラード反応」
「マイナスイオン」「活性酸素」
等々。次作が楽しみ。やはり
「科学の世界」は面白い。
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