えんじゅ:209号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCC)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


   三月。弥生。渋幕高二十三期生 卒業。同窓会「槐」の会員はいよ いよ壱万人に及ぶ。
 意気軒昂。
 一里はみな花守の子孫かや
            芭蕉
 謡曲「田村」の一節に、「よしあり げなる姿にて玉箒を持ち、花かげを 清め給ふは、花守にてましますか」 とある。
 日本人とはきってもきれぬ桜の季 節。「花守」という季語がふさわしい この時期、昼と夜の時間がほゞ同時 間になる「春分の日」が、農事で野 菜の種を播く時期と重なり祝う行事 の日となる。
 自然万物を讃え、自然をいつく しむこの時期、二十一世紀を担う 若者達へのメッセージとして学校 教育の骨組みを示す「改訂学習指 導要領」(案)が公表された。
 まず、基礎的基本的な知識、技 能を身に付けさせ、自ら学び自ら 考える力などの「生きる力」をは ぐくむ具体的手立てを次のように 述べる。
 基礎的・基本的な知識・技能の 育成(習得型教育)と自ら学び自 ら考える力の育成(探究型教育) を総合的に育成する為に、言葉や 体験などの学習や生活の基盤づく りを重視する姿勢を打ち出す。そ して時代認識として二十一世紀を 「知識基盤社会」の時代であるとし、 @知識に国境がなく、グローバル 化が一層進む、A知識は日進月歩 であり競争と技術革新が絶え間な く生まれ、B知識の進展は旧来の パラダイムの転換を伴うことが多 く、幅広い知識と柔軟な思考力に 基づく判断が一層重要となり、C 性別、年令別の差なく社会に参画 することが求められる、等の特質 を持つ時代としている。
 今日、この考えはユネスコをは じめとして世界共通の時代認識で ある。
 二十一世紀を担う若者達に必要 とされる能力を「キーコンピテン シィ」・主要能力として、概念定義 し、その資質能力を調査するテス ト(ピサテスト)を開発した経済 協力開発機構(OECD)は、同じ時代 認識で、日本を含め多くの 国々の認知科学者等の協力の下、 次のように主要能力を定義してい る。「単なる知識や技能だけでなく、 技能や態度を含む様々な心理的、 社会的なリソースを活用して、特 定の文脈の中で複雑な課題に対応 することの出来る力」で、具体的 には@社会、文化的、技術的なツー ルを相互作用的に活用する力A多 様な社会グループにおける人間関 係形成能力B自立的に行動する能 力という三つのカテゴリーで構成 されている。
 現在、ピサ調査は、全世界一斉 に、15才児(日本では高一)対象 に'00年読解カリテラシィー、03年 数学的リテラシィー、'06科学的リ テラシィー(2/3、1/3は読解 力、数学的問題) の調査が行なわ れ、これからICTリテラシィ調 査予定、又高等教育対象の調査も 計画中である。グローバル調査と 云うと、我々はすぐ順位を気にす るが、最も重要なことは若者が国 際的通用性のある質を有している かをみることである。例えば、06 年調査では、地球温暖化といった、 しっかりものごとを考えることが 必要で、正解が一つでないような 問題に無解答が他国と比し異常に 多かったのは、いかゞなものか。
 自調自考生どう考える。

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平成20年(2008)4月2日改訂