えんじゅ:209号


第二十三期生卒業証書授与式

平成二十年三月一日
  


   

 卒業生の門出を祝う暖かな陽光 に包まれた一日、平成十九年度卒 業証書授与式が行われ、三五三名 が、新たな世界へと巣立っていっ た。
 証書授与では、一人一人の生徒 の名を呼ぶ先生方の声にも、元気 よく応ずる生徒たちの声にも緊張 が満ち、人生の節目を迎える厳粛 さに溢れた式となった。総代F組 和田君の丁寧でいて気負わな い自然な拳措には、自信が感じら れ、六年間の学校生活の充実を思 わせた。
 田村校長からの式辞では、本校 の三つの建学の精神に基づき、三 つの言葉が卒業生に送られた。自 分自身でいかに生きるかをよく考 えて計画を立てることが自調自考 であり、二十一世紀人は、「自分 が人生の作成者」とならねばなら ないこと。高い倫理感、すなわち、 自分の人生を自らに問い続けるこ とが生涯学習であり、他人にも自 分にも恥じることのない人生を送 る品格を身につけてほしいこと。 国際人として、グローバル化する 世界の中で日本人の特性を活かし てほしいこと。そして、最後に、「文 化と文化が前提とする一定の自由 がなければ、如何なる完全な社会 もジャングルでしかない。だから こそ全ての真正な創造物は将来へ の贈り物なのだ」というアルベー ル・カミュの言葉を引用し、自由 とはわがまま勝手ではなく、自己 決定、自己責任なのだという激励 を頂いた。
 来賓のキッコーマン株式会社特 別顧問・上花輪歴史館理事・館長、 高梨兵左衛門様からは、卒業すれ ばもう大人の一員であり、個々の 責任において行動し、拝金主義や 物欲を退け、心を磨いていってほ しいとの祝辞を頂いた。
 在校生送辞では、二年C組飯田 麻奈さんが、生徒会役員として先 輩から受けた数々の教えと励まし への感謝を述べつつ、感極まり、 涙する場面も見られた。答辞にお いては、E組家原篤紀君が、校長 講話で一番印象に残ったという、 「世の中には三種類の人間がいる。 それはいないと困る人、いてもい なくてもいい人、いたら困る人で ある」との言葉に触れ、これから、 いないと困る人、すなわち誰かに 必要とされる人でありたいという 決意を語った。一方、F組の浅野 さんは、本校の去り難いまで の心地良さと得難い友の存在に触 れ、こう語った。
 This school helped me grow in so many different ways, and it has taught me how to gain confidence in myself. It was a place that afforded me the chance to be myself, it unlocked my motivatoin, it produced character in me, and above all it felt like home.
 式終了後、A組廻谷さん、 B組新貝君による、校長と藤 井学年主任への花束贈呈、保護者 代表虎澤様からの気持ちのこ もった謝辞を頂き、職員一同感謝 の念に耐えない。
 例年通り各クラス選定の退場曲 にのって、卒業生全員が一人ずつ 校長より卒業証書を受け取り、在 校生の拍手に包まれて、晴れやか な表情で退場していった。多幸を 祈る。


医薬系進学ガイダンス


 去る二月二十三日(土)、 一三時十分より、本校UV室に おいて、医・薬・歯の道を志す 在校生のための進学ガイダンス が行われました。医薬系の研究 機関や病院で活躍している本校 卒業生の講演を通して、医療の 現場を知り、進路選択や勉学方 法の参考としてもらうことを目 的としています。進路都主催の 恒例行事であり、今年も、六十 人余りの高校一、二年生が参加 しました。
 多忙な中、来てくれた卒業生 は、竹本さん(十九期生 千葉大学医学部四年生)、今井 さん(十六期生 東京大学 大学院薬学系研究科博士後期課 程生)、松崎さん(十四 期生 東京厚生年金病院泌尿器 科勤務)の三人。集まった在校 生からは、同窓であり、同時に、 自ら強く志す道の先達でもある 先輩たちに、開始前から熱い視 線が注がれていました。
 竹本さんは、現役の医学生と して、医学生の日々の姿や、医 の道を志すことの心構え、合格 までの過程を、体験を中心に話 をしてくれました。「医者にな るのは特別な人でなく、普通の 感覚、優しさをもった人こそが 必要」という言葉が印象的でし た。今井さんは、パワーポイン トを用いて、薬学者としての倫 理観、生命科学という学問の魅 力などを、平明な語り口で説明。 知的好奇心の大切さ、そして日 常の自己の在り方と学問研究と の関わりについての話に、自己 を省みる生徒も多かったようで す。最後は、松崎さんが医師の 日常生活、そして医師として必 要な資質と心構えを、自らの週 間スケジュールや実体験を交え て、楽しく話してくれました。
 多様な視点から、医薬の世界 を垣間みた在校生は、いのちと 関わることの責任の重さ、そし て、それを上回る充実感を先輩 の姿に感じたようです。ガイダ ンス後、進路室に個別相談に来 た生徒の数は少なくなく、そ れに誠実に対応する卒業生か らは、「なぜ『医』を志すのか」 という根源的で最も大切な問い かけが、よく聞かれました。医 薬の道を志望する在校生が多い 昨今、現場に居る卒業生の話に 共通していたのが、人としての 優しさや倫理の大切さであった ことは、後世の襟を正さしむる に十分であったようです。

 

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平成20年(2008)4月2日改訂