えんじゅ:223号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCXW)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


   平成二十一年、一学期が終了し、 夏休みを迎える。 一学期は、地区別の父母との 懇談会(前期・報告書参照) 授 業公開研究授業と二十五回シル バージュビリーメモリアルコン サートで幕を閉じ た。今年25回目を 迎えたメモリアル コンサートは高木 竜馬君(高2F) ピアノ演奏をハイ ライトにしてその 歴史に華麗な一頁 を加えた。  そして、生徒諸 君は、毎日の生活 の過ごし方の主導 権を学校から取り 戻し、一人一人が 自分の時間をどの ように使うかを決める夏休みに 入る。毎日ほぼ十時間余の時間 をどのように使うかを、一人一人 が自由に決める時が来た。期間 は六週間。この六週間は、まさ に自調自考が発揮出来る時とな る。その過ごし方によって、二学 期以降の学校生活に大きな影響  もたら を斎すものであることを充分承 知して、実りのある六週間にし てほしい。  その際「習慣は第二の自然で ある (モンテーニュ)」と云われ るように、この間、正しい習慣 を身につけられるかどうかが大 事なポイントとなる。「努力に よって得られる習慣だけが善で ある (カント)」とも云われる。 努力によって得られる善とは何 か。「若いうちは何かになりたい という夢を持つのも素晴らしい。 しかし同時にもっと大切なこと として、いかに生きるかというこ とがある。日々の行いを選び積 み重ねること、その努力こそが 良い習慣を身につけさせ、人生 の行方を定めるのだ」。串田孫一 さんの言葉である。  又最近の脳科学の研究で、目 的が最初にあって行動が生まれ るものではないことがわかってき た。目的とは、だいたいとった行 動に対して脳が後から付ける理 屈のようなものだそうだ。脳の 働きからみれば、とりあえず行 動があって、その後に目的や成 果がついて来るものと考えられ ている。何よりも行動、そして それを支える善い習慣こそが何 よりも大切なものなのだと考え てよいだろう。  本年六月、天皇・皇后両陛下 御臨場の下、日本の学者の最高 の栄誉の一つと考えられる日本 学士院賞(日本アカデミー) が 学問六分野で授与された。社会 科学分野で「フランス自由主義 の成立−公共圏の思想史」とい う注目すべき論文がでた。フラ ンス革命前後の重要な社会思想 =フランス自由主義に、イギリス の経済思想(アダム・スミス)と ドイツ文学(ロマン主義)側から も照明をあて、まったく新しい 思想像の発見に成功した学際的 で国際的な新しい方法による思 想史研究(安藤隆穂博士) であ る。ここでは自由平等な個人の 集団としての経済社会に相互同 感を求めての自己規制という近 代社会の非政治的原理(アダム・ スミス)を持ち込むことによって 「自由」 の本質を明らかにしよう としたものである。つまり個人 の感情によってつなぐ自律社会 において、自己決定、自己選択 =自由の妥当性を明示しょうと した。  この考えは自由に決める時間 帯に善い習慣をどう持ち込むか を考えることと関係がありそう と言えそうだ。

えんじゅ表紙へ

学校表紙(もくじ)へ

平成21年(2009)11月10日改訂