えんじゅ:223号


延暦寺戒壇院にて
進路部長 山崎
     


  私は以前休みを利用して本校 の生徒と共に関西方面へ旅行し たことが数回あった。  京都から湖西線に乗り換えて 十分程で叡山という駅に着く。 日吉大社のゆるやかな参道を登 り、大鳥居の前の十字路を左に 折れると、そこに三百年以上も 続いている老舗のそば屋があ る。東京から出かけて来ると、 ちょうどこの辺りで昼食の時刻 になるので、いつもこの店に寄 ることにしている。生徒達のそ ばをすする音が耳に快い。  腹が落ち着くと比叡山に登 り、まず根本中堂を見てから 戒壇院に立ち寄った。根本中堂 とは目と鼻の先にあるのに、辺 りには誰もいない。実は旅の一 番の目的はこの戒壇院を生徒達 に見てもらいたいということに あったので、私にとって幸運こ の上ない。  戒壇とは僧侶に戒を授けるた めの式場で、今でいうと卒業証 書授与式のようなものがここで 行なわれ、一人前の僧侶として の資格が与えられたのである。 最澄の時代、仏教界ではこの戒 壇こそが最も重要な役割を演じ でていたのである が、実は比叡山 には無かったのある。最澄自身も東大寺の戒 壇で受戒している。彼は晩年、 長年教育してきた弟子たちに、 何とかここで独自に戒を授ける べく戒壇院建立に情熱を燃やし 続けるのである。しかし、南都 諸寺の反発にあい、遅々として 実現できず、朝廷の許しが下り た時にはもうこの世の人ではな かったのである。私の彼に対す る思いが通じたかはわからない が、しばし生徒達も無言で説明 書きを読んでいた。  東大寺でもそうであるが、「大 仏は見るものにして尊ばず」と いう言葉のように、大仏だけを そこそこ見て、手を合わせよう としない。まして戒壇のことな ど眼中にない者が多い。現代の 我々は古人が残してくれたもの の前に立つ時、その無知と倣慢 さから我々の感覚に合ったもの だけを選び取って、そしてあま りにも自分勝手に解釈してはい ないだろうか。本当に見るべき ものを見落としてしまってはい ないだろうか。もう少し謙虚に なって古人が残してくれたもの と向き合いたいものだ


ボランティアのすすめ
           生徒部長 菅野      

 夏休み、生徒は学校生活から 解放され、生活の中心を家庭や 地域へと移す。学校の存在意義 の一つに、そこが小さな社会で あるという点がある。しかし、 この社会は同世代で構成される 特殊な社会である。一方、家庭 周辺は、さまざまな世代の人々 の集合である。  時々、外部の方から生徒のマ ナーについて苦情が寄せられる ことがある。確かに、生徒の登 下校の様子は、周囲のへの配慮 が十分とは言えない。社会との かかわり方が問われている。  本校は通学途中の注意事項を 細かく決めていない。社会にお けるマナーが守られれば十分と 考えるからである。在学中に、 家庭や学校でマナーを学び、社 会の一員として成長することを 願っているのである。  ところで、マナーはどうすれ ば身につくのか。生徒の立場で は、具体的にどうすればよいの かわからないというのが本音だ ろう。だからといって、注意事 項を生徒手帳に羅列すれば良い のだろうか。一度それを始めた ら、私達を取り巻く状況の変化 に合わせ、その 内容は次々と増 えていくに違い ない。  世の中では、いじめ、インター ネット上のトラブル、交通事故 など、さまざまな問題が、他者 との関係の中で起きている。そ れらの根底には、自分本位の考 え方が見受けられる。  マナーとは、自分の周囲に目 を向け、相手の立場を理解でき る見識を得てそれを理解し、自 分のとるべき行動を判断するこ とにあるのではないだろうか。  この夏休み、人々のマナーに 目を向け学んでみてほしい。世 界で起きている出来事と、そこ で暮らす人々の心情を想像して みてほしい。身近な家族、友人 に対し、親しい間柄での礼儀を 考えてみてほしい。  実は、こうしたことを考えて いくと 「ボランティア」という 言葉に行き着くことになる。自 分以外の存在を理解し、受け入 れる気持ちを育てるのに最も適 しているのがボランティア活動 ではないだろうか。生徒諸君が、 小さなボランティア活動を通し て、自ら成長する機会を得られ ることを願っている。


メディア・リテラシーに関する
ワーク・ショップ開催される     地理歴史・公民科      

 六月二十日(土)午後に、本校 十八期生富田莱苅さん (現環境 省勤務) を中心とする現役大学 (院)生七人が来校し、題記のワー ク・ショップが開かれました。  私達が日頃触れているメディ アは記者やTV局等のバイアス下 で作られている点を、寸劇と取 材記事を見て新聞記事を作成す るワークを通して実感しました。 高校生に身近な人間関係を題材 にした新聞記事を作成しながら メディアに対するバイアスや批 判的視点の大切さを学べました。  東大を始めとする現役大学(院) 生との懇談は予定時刻を越え、 カフェでの「二次会」 へと進み 様々な相談にのってもらえ付加 価値も満載の企画となりました。  過日実施の法科大学院教室な ど本校では様々なワーク・ショッ プを随時実施しています。今後 も積極的に参加して下さい。

 

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平成21年(2009)11月10日改訂