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去る2月18日、多摩大の学長で
あり日本総合研究所会長の寺島実
郎先生をお招きし、広範でかつ膨大
な資料集をもとに、我々は現在どの
ような時代を生き、どのような視
点で世界を知るべきなのかについ
て、お話しいただいた。以下、抄録
を記す。
勉強するだけでよい国−13年間
のシベリア抑留生活を経験した高校
教師から平和な時代に学問するこ
との意味を啓示され、半可通で生意
気だった私の愚を痛感。以後の私の
姿勢を変えた。
日本はどこにいる?−経済は物・
金・人の動きをとらえるゲームであ
るが、09年の日本の貿易輸出入総
額に占める中国の割合が戦後初め
て米国を抜き、対大中華圏(中国・
台湾・香港・シンガポール)で3割、
対アジアでは5割と、日本の産業経
済の基本性格に変化が生じてきてい
ることを物語る。
日本は車を売って資源・エネル
ギー・食料を買う貿易立国であった
が、今や車の販売台数では中国の1
/2、租銅生産でも1/5で、69年
以来世界2位のGDPを誇ってきた
日本の座を今年度中に中国が奪う
のは確実視されている。大中華圏で
はすでに08年に抜かれている。
中国台頭のわけ−中国は「台湾」
とは「一つの中国」という原則を維
持しながらもソフトランディングを
心がけてきた。そしてイギリスから
返還された「香港」との「一国両制」
を十全に果たした。大中華圏の一国
であるシンガポール、頭(=良質の
労働力・資本・情報)だけを持ち
身体(=土地・資源・原材料)を持
たず、他の身体間を結合させる結
節点として機能する「バーチャルス
テート」として、バイオ技術の研究・
医薬品の開発など世界に冠たる経
済国家となっている。これらの国との
ネットワーク型の相関が相乗的に大
中華圏全体の活力を高めているとい
える。
アジア大移動の時代−08年の日
本の出国者は中国へ345万人、米
国へは325万人であるから確実に
アジアへシフトしている。また入国
者に関しても09年訪日米人は70万
人で減少傾向に、中国人は101万
人で増加傾向に。09年の中国の出
国者は5000万人で、5年以内に
1億人になることは必至であり、そ
の1割を日本に向けさせようと日本
は考えている。
刷り込まれた米国信奉−日本の
近代はペリーからスタートし、大戦
も米国に敗北したという意識が刷
り込まれたが、近代化に関してはロ
シアを、敗戦に関しては中国を視界
にいれるべき。表日本と裏日本の古
称は米国を意識したものだが、地勢
的にみても反転させる発想が必要。
オハマのグリーン・ニューディー
ルは成功するのか−化石燃料から
自然エネルギーへの転換政策をコス
トと供給量に関してその成功を疑
問視する専門家もいるが、「小規模・
分散型」のアキレス腱がむしろEV
(電気自動車) への供給にメリット
に。
「スマートグリッド(次世代双方
向送電網)」構想、やEV、ITと
相関・相乗することによって、世界
の進路まで及ぶ大きな意味を持つよ
うに思われる。
固定観念にとらわれず、「相関の
知」をもって地平を開く気概をもっ
て欲しい。
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