五月、皐月。
新緑がいちだんと深くなり、
陽光はまばゆいばかり、初夏の
おとずれを感じさせる美しい季
節となる。
こうした自然の変化する姿を、
日本では、「生活暦」
として、二十四節
気や七十二候、六
星、星の占いなどで
「お日柄」と言って
大切に扱ってきた。
陰暦五月は、田植
えの月にあたり、
一年のうちで最も
大切な月だと考え
られてきた。
五月を「さつき」
と言うのは、早苗え
を植える月=「早
苗月」を略したから
だと言う。
東洋一早かった明治六年(1873年)の
グレゴリオ暦採用以降、私達は、
太陽の運行の観測結果を示す「天文
暦」=カレンダーを使うかたわら
、日常生活の指針となっていた
太陰暦も残している。
例えば宣明暦などで示されて
いた日常生活の指針として暦注
の先勝、大安などの六曜六輝を
口にする。私達、日本人は、一方
では天文を大切に、宇宙を科学
的に観測する知的活動に熱中し
(例えば日食の予言等)、他方生
活実感への暖かい肌ざわりを愛
する生活感覚を「こよみ」とし
て残す文化を持っている。
さて、平成二十二年、二〇一〇
年渋谷幕張中学高校は二十八期
生を迎えての「夢」と「希望」に
満ちた新学年をはじめた。
春休み中、中三はニュージーラ
ンド研修、高校生達は、それぞ
れ英国、シンガポール等海外研修
を終えて、渋谷幕張の海外交流
の経験を深めている。
入学の子の顔頓に大人びし
高浜 虚子
それでは前回の「大学教育の
質」保証の話しを続ける。
大学教育を、職業に関わる専
門知と自然や人間に関わる歴史
文化についての諸学問=教養=
と仮に二つの分野に分けてみた。
これ等の教育は人間にとっては、
それぞれの自らの新しい世界に通
じる可能性の扉を押し開けてく
れるものと考えられる。そこで
まず職業にかかる知キャリア教
育について考えてみる。
かつてルソーは近代の教育理
念を説く小説『エミール』(1762)
で「自然のままでは人間は殆ど
考えない。考えることは……教
育によるもの……」と述べ、人
の幸福に至る道は考えるカを持
つことにより開けると説明して
いる。又江戸時代初期に活躍し
た陽明学者中江藤樹は、日本最
初の教育書と言われる『翁問答』
を著したが、この本は「致知格
物、知行合一」といった思想を
基礎として書かれている。つま
り「よく知り(知を致し)物事
を格さなければならないとし、
知ることと行うことは一致しな
ければならない」と考える考え
方である。
この思想は、二百年後、幕末
の志士達(坂本竜馬など)の行
動に決定的に大きな影響を与
えた。
藤樹は、それ迄の日本人、日
本文化のたっぷりと情緒的で
あった流れのなかに、日本文化
的手法で「知の尊重」を持ち込
み、「知の実現」を成功させた。
二十一世紀を迎え、新しい知
の時代がひらけてゆく時、日本
の歴史でのこの状況をふり返っ
てみることは参考となろう。
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