えんじゅ:241号


中3ニュージーランド研修



 二月のクライストチャーチ大地震と三月の東日本大震災の影響で、度重なる日程の変更を余儀なくされた昨年度のニュージーランド研修は、四月二日にワイカト地区の最後のグループが帰国して終了することができた。
 ワイカト地区の生徒は三月十一日に出国の予定だったが、出発の数時間前に起こった地震のために出発が中止となり、空港に宿泊した者も含めて帰宅は翌日にまで及んだ。ウェリントン地区の生徒は予定より一日遅れの三月十三日に出発できたが、ワイカト地区の生徒は次に出発が予定された十四日が計画停電初日と重なったため交通機関の乱れから再び出発を断念せざるを得ず、再度調整した結果、出発は三月二十日と二十一日の二グループに、帰国は三月二十九日と四月一日、二日の三グループに分かれ、それぞれのコミュニティーが日数の異なる日程(十日間〜十四日間)での研修実施となった。
 国内外で震災の被害状況が連日報道される中、不安や「このような時期に海外研修に参加してよいのか」というジレンマを抱きながら研修に参加した生徒は少なくない。その心境を察してか、ホストファミリーをはじめとする現地の方々には、かつて無いほど暖かく迎え入れられたように思う。彼らもまた、二月に国内で起こった大地震の被害に心を痛めてから間もなかったのである。我々に対しても強いシンパシーを抱いてくれたのだろう。生徒達もまた、今回の研修が特別なものであるという意識が積極的な参加姿勢に繋がり、結果としては非常に充実した研修を送り、NZの自然の豊かさや人々の優しさに触れ、ホストファミリーと心を通わせることができた。
 日本とニュージーランドの両国で起こった地震は、今回の研修に関わった人々すべてに特別な感情を残した。そこで生徒ひとりひとりが築いた特別な関係が、今後も続くことを期待したい。研修に参加した生徒達には、今後もNZのホストファミリーと連絡を取り合い、絆を深めてほしい。そして両国の復興を共に喜べる日が一日も早く迎えられることを願う。
 



 地震、そしていざNZへ
     高1  櫛田

 三月十三日。私達ウェリントン組が日本を発ったのは東日本大震災からわずか二日後のことだった。まだほとんど被害状況もわからず、ホームステイへの不安より日本への心配の方が大きいような状態で二週間の研修が始まった。
 数日目の夜、ニュースで津波の映像が流れた。いつの間にか私は悲しい顔をしていたらしくホストマザーはハグをして慰めてくれた。彼女がハグをしてくれるのは初めてのことで、嬉しくてたまらなかった。
 優しかったのはホストファミリーだけではない。バディの知り合いみんなが、私が日本から来たと知ると「家族は無事ですか?」と訊いてくれた。もし立場が逆だったら、私は初対面の相手の家族のことまで気づかうことができただろうか──。
 地震は誰にとっても悲しいものだが、大きな災害があったからこそNZの人々の優しさに触れることができたのだ。
 「いつかまた会おう。」バディにそう言ってお別れした。もう一度ここに来たい。心の底からそう思った。





中国北京研修

            


 三月十八日から二十五日にかけ、三名の生徒によって北京研修が実施されました。ホームステイや月壇中学での授業体験、また日系企業訪問など貴重な体験をしてきました。



 驚き絶えぬ中国研修
     高2  金子

 僕達はこの春休みに三人という少人数で中国へ行ってきました。僕がこの研修に参加しようと思ったのは中国の言語・食・文化をこの身で感じようと思ったからです。さらには、経済成長が著しい中国を一目見てこようとも考えていました。
 この研修では土・日曜が一番初めにきたので、僕はバディと一緒にお土産を買いにいきました。すると北京市内にあったのはほとんど東京と変わらないデパートの数々と日本では考えられないような車の数。これらは僕の想像の遥か上をいき、見た瞬間今まで自分の中にあった中国のイメージが吹き飛びました。僕はただ「すごい…。」と言うことしかできませんでした。
 月壇中学では少しの間しか授業に出れませんでしたが、やっている内容はレベルが高く、また日本語の授業でも日本人の自分が上手だと思う発音だったため、総合的に比べたら自分なんかじゃ太刀打ちできないなと思いました。また、クラスメートもみんなフレンドリーに話しかけてきてくれてとても楽しく過ごすことができました。
 また、トヨタへの企業訪問では日本人の方に中国での苦労や日本との違いなど、とても興味深い話をして頂いたり、北京大学や清華大学では、街としか考えられないような広さに驚いたりと、普通なら見られない所まで見てきました。もちろん、万里の長城の登り降りに苦労したり、故宮のあまりの広さに呆然としたりもしました。
 たまに、「中国へは修学旅行でも行くのにどうして行くのか」と言う人がいます。確かに中国の経済成長や観光地を見るだけならそれでもいいと思います。しかし、この研修はホームステイであるために普通の修学旅行では感じることができないこと、例えば家庭内での生活様式の違いや、電車やバスなどの交通機関の違いなどを深く感じることができました。だからこの研修にも意味があるのだと中国へ行く前も、帰ってきた後も強く感じています。


イギリス研修

            


 今年度は、震災直後の三月十五日に出発、二十九日までの十五日間の日程で実施されました。今回は幕張高三十二名、渋各高十八名の計五十名という例年にない大きなグループでの研修となりました。内容はイギリス南部、ボーンマスでの語学学校での授業体験とホームステイが中心です。週末はオックスフォードの観光、ロンドンとパリの観光も盛り込まれ、大変内容の濃いものとなりました。
 震災の影響が大いに懸念されましたが、保護者をはじめ関係者皆様のご尽力で予定通りの実施となりました。



 視野を外に広げること
     高2  持尾・柯

 今回イギリス研修に行って一番感じたことは、現地の方たちが自ら情報を発信することに積極的だということです。
 現地の学校で私たちははじめ日本人同士でかたまりがちで注意されることも少なくありませんでした。しかし周りを見てみると、他の国から来た留学生たちは皆、慣れない英語でも一生懸命コミュニケーションをとろうとしていて、私たちも「せっかく来たからには、もっと話さないといけないな」と思わされました。そして最終的には台湾・中国・韓国といったアジア系の人たちをはじめ、リビアやフランス、サウジアラビアなどの世界各国の人たちと交流を持つことが出来ました。
 交流を通して分かったことは、彼らがフェイスブックなどを利用し、様々なことに対して視野を広げ吸収しようとしていたことです。それは、私たちも必要なことだと思います。グローバル意識を高め、もっと積極的に物事に挑戦していくことが、自分の成長につながるのではないか──私たちはそう思います。
 

シンガポール研修

            


 三月二十日から二十九日、幕張・渋谷から合わせて七名(幕張は三名)が参加してシンガポール研修を実施しました。
 今年はRI(Raffles Institution)に加えてDHS(Dunman High School)の新しい学校交流のプログラムが加わり、例年にもまして充実した内容で研修が行われました。   



 My School, My Pride
     高2  河野

 今回の研修で、私達はシンガポールの巡検と並行して現地の高校二校と交流した。特に刺激を受けたのがRIからだ。HarvardやCambridgeに毎年数多くの進学者を輩出し東南アジアトップと評される名門校。どんなエリート集団かと恐々として訪れた。
 しかし授業に参加してみると、そんな恐れは全く無用であった。授業中は議論や冗談で正直うるさいほど。そして皆フレンドリーで個性豊かだ。どこか渋幕に雰囲気が似ている。
 RIが一番大切にしているのはRafflesian(RI生)であるという誇り。印象的だったのが学生寮での体験だ。寮生は五つに分かれたブロックごとにTシャツを作り、スポーツの対抗戦などで自分の寮に誇りを持つことから学ぶ。入り口には“My Block, My Pride”の文字。私のバディもやはりRafflesianとしての誇りと自信に満ちていた。
 多様な民族・宗教の人々が集う国際社会において大切なのは、自分のアイデンティティーに誇りを持つこと。そうして初めてバックボーンの違う相手を尊重することができる。そのことを「国際社会の縮図」シンガポールの高校から教えられた。
 果たして自分達は渋谷幕張に誇りを持っていると胸を張って言えるだろうか。渋幕の一員として、皆が誇りに思える学校を共につくろう。そう決意して研修を終えた。

  • 祝 入 学
      ハーバードブックプライズ受賞
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  • 震災復旧について
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    平成23年(2011)6月2日改訂