平成24年6月。
最も昼が長く、夜が短い月。
学術用語として世界中で使われているTSUYUのせいで、北海道以外日本全国ジメジメとなる月。
紫陽花や
はなだにかはる
きのふけふ
正岡子規
平安時代「蜻蛉日記」に「女神に着物をきせて晴れを祈る」と書かれた紫陽花の花色変化はまことに美しく、うっとうしい梅雨空に負けじという印象を残すものである。
尚陰暦6月の異稱「水無月」は、田植えに多くの水を必要とする月の意。
1/400の月の影に太陽がすっぽり入ってしまう金環日蝕に日本中が夢中になっていたのを見ると、私達日本人は、宇宙を科学的に観測し、天文を学問として研究する知的活動に熱中すると同時に生活実感への暖かい肌ざわりを愛する生活感覚を「暦」として残す文化を大切にしているように思う。日本古来の民俗信仰「夏越の祓」はこうした感覚から生まれている。
扨、梅雨入り直前の快適な時期を「五月尽」と言うが、この時期に渋幕はスポーツフェスティバルを終了し、中学の研修事業=野田・鎌倉も終え、1学期の主要な行事を済ませている。
30周年記念事業としての新図書館棟建築の為、今年のスポーツフェスティバルは1日で終了するものとなったが、天候にも恵まれて充実した素晴らしい行事であった。
ところで、人類の歴史を回顧すると、その「文化」の大きな変革に、地球規模の大震災が関わっていることが多くみられる。18世紀半ば、欧州の西端に位置するポルトガルの首都リスボンを襲った大地震とそれに続く大津波は、当時の欧州における「思想」に多大な影響を与えている。この状況は、今日の私達の状況とよく似ている。
17世紀、欧州では人文科学も発展し、ベーコン・ロックの経験哲学が展開され、デカルトの合理主義哲学が確立される。またグロティウスは国際法を合理主義的自然法によって基礎づけ近代国際法を樹立した。これらについで、フランスを中心に啓蒙思想が興り、近代的思考が進展をみる。この時代ドイツ啓蒙思潮の先駆者ライプニッツが「弁神論」を書き、世界を創造した全能の神の絶対的善、「どんな不幸や悪事でも善なる結果のためである」ことを主張していた。「リスボン大地震」の大災害の後、18世紀フランスの代表的啓蒙思想家、作家ヴォルテールは『カンディード』という小説を書いて、ライプニッツの思想を嘲弄した。
ヴォルテール自身は神の存在を信じていたが、彼の神は世界の善悪には責任のとれない永遠の必然的秩序の化身である。
予定調和的思潮に満ちた、特に若者にとって閉塞感の強い現代日本に大震災が襲った。世界中から純粋な人間愛からの同情や援助、ボランティア活動が寄せられた。この実感を得たことで今の若者達は、将来に向けて人間の生きる意味を考え、人類の未来に大きな希望が持てるという考えを持てるのではと願う。サンデル教授の「正義」についての講義が話題となる日本で。自調自考生どう考える。
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