「 秋酣、霜月。霜降。立冬(二十四節気)と続くこの季節は長かった酷暑から解放されて収穫を祝うときでもある。
北半球、欧米、特に米国での第四木曜日の「収穫感謝祭」Thanksgiving Day は有名。そしてキリスト教国での祝い行事「ハロウィーン」では子供達は「Trick or Treat」と菓子をねだって歩く。
日本では「秋祭り」を楽しむ。稲の収穫、新穀を供え神に感謝する。春、山から降りて田を守護してくれた神が山に帰られるのを送る祭りである。夏祭りが禊、祓の行事であるのと趣を異にする農村中心の祭。山茶花の花が咲きはじめる。
山茶花の垣一重なり法華寺
夏目漱石
学園ではこの時期「校外研修」が行われる。秋祭りは人間の互恵利他的動機付けから育まれたものであるが、「校外研修」は集団で共通の目標=私達の文化(生活のパターン)の源泉を探り実体験する=の下に行動することで、とかく不安定になりがちな「心」の健全なバランスを取り戻す役割も期待される。校外研修は学園の収穫を祝う秋祭りといえよう。
中一南房総、中二信濃、中三奈良、高一広島、高二九州と昨年と同じ舞台での生徒達は、各学年昨年にもまして現地での風土、人間交流を通してそれぞれ自分の頭で考え、行動した成果がうかがえるものとなった。
グローバル人材養成が論ぜられる昨今、国際状況が理由で研修の場として最終学年で「中国」に行くことが出来なかったのは残念であったがそれを乗り越えた活動報告であった。
二十一世紀は多様性 Diversity がキーワードとなるといわれているが、それぞれが多様な場で多様な体験を積むことは何よりも素晴らしい成果を生み出すことになる。
ところで近年、世界をリードするアメリカのアイビープラスの中でM.I.T.(マサチューセッツ工科大学)が頓に人気を高めている。日本人にとっては利根川進教授(1978年免疫体の遺伝子構造解明 ノーベル生理学医学賞単独受賞)がM.I.T.だったということも理由となろうが、女性学長の存在(2004〜2012)により、科学技術とりわけ工学に対するステレオタイプのイメージを変革し女性志願者が増加したことや、多様性に満ちた環境を意識したキャンパス構成により、マイノリティの学生及び海外からの留学生達が満足できる大学づくりに成功したからだという(現在学部学生の45%が女性で理工系大学としては高い)。
現在、特に科学技術の分野で世界をリードするM.I.T.の入試は次のように行われている。第一、合格学生は全て共通の望まれる素養を有していること。第二、結果の学生集団は出来る限り多様性に富むこと。したがって学生には「学力と聡明さ、関心の的が何であれ、率先して自ら行う行動力ややりたいことに打ち込める独立心、失敗を恐れず立ち直れる力、大学コミュニティーのメンバーとして仲間と協力する力、科学や技術は勿論、文学や歴史、音楽、ビジネス等何でも関心を持つこと」が求められる。結果、多様な関心、多様性に富んだ集団、そして男女、世界中から互いに学び合える集団が出来る。
これをみると二十一世紀のこれからの社会が求める人材のイメージが浮かび上がってくる。
自調自考生、どう考える。
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