二千拾五年、平成二十七年、暦注の干支では乙未の年となる。
 乙は木の弟の意。十干の二位。未の方位は南南西。五行の木(紀元前十七世紀頃の中国に起源する哲理として、陰陽五行説がある。古代中国には万物すべて「陰」と「陽」の二つの要素に分けられるとする「陰陽説」と、すべて「木・火・土・金・水」の五要素からなるとする「五行説」という思想があり、これらを組み合わせて陰陽五行説による暦注が成立する。)
 未は十二支の八番目。動物では羊が充てられる。
 未の字は、木のまだ伸びきらない部分を描いた象形文字。「まだ~していない」の意味。
 羊と人間の関係は八千年前の新石器時代初期頃からで、食糧生産革命、農耕牧畜、土器や織物の使用、そして地上家屋、村落定住が始められた時代。従って羊についての故事、諺は洋の東西を問わず多い。中国では羊の種類特徴を表す漢字が百八十八種(大漢和辞典)、例えば生まれて五カ月を羜、六カ月はむそして白い羊はふん、黒い羊は羭と云う。そして「説文」によると「羊は祥なり」とある。早い時代から犠牲として用いられ、神聖なものと考えられていたようだ。「羊質にして虎皮」「羊頭狗肉」「羝羊籬に触る」などが有名。又英国の俚諺に「三月は獅子のように来り、子羊のごとく去る」とある。初め厳しく冷えるが末には温かくなるを指している。このような羊とのかかわりの諺は仏にも西の農村にもある。
 新しく発掘された古代文明が優れたものであるかどうかの重要な判定基準は、その文明が暦を持っているかどうかによっていると聞く。我々の国の暦にも関心を持ちたいものだ。
 「羊は祥なり」と。縁起の良い、素晴らしい未年になってほしいものである。
 新しき年の始の初春の
  今日降る雪のいや重け吉事
 守大伴宿禰家持
 希望いっぱいの新しい年を。
 小寒初候芹乃栄。
 さて、旧年末、1999JU3小惑星探査機「はやぶさⅡ」が宇宙へ旅立った。
 今世界は宇宙へ関心を高めている。一九六九年にアポロ11号(米)が月面着陸を成功させ、人類がはじめて月面に立った。世界が魅了された出来事であった。そして日本の「生命の起源」を探査する「はやぶさ」計画は地球から三億キロ離れた小惑星イトカワの微粒子を採取し戻ってきた。世界初をいくつも成し遂げたその技術にはいまも世界から問い合わせが続いている。
 そして改良された「はやぶさⅡ」発射成功。欧州からは、旧年末彗星に初着陸した「ロゼッタ」計画が成果を挙げたと報道される。又米国では有人火星探査を目指す「キュリオシティ」計画が着々と実施されつつある。そして「生命の起源」を探る日本の計画は、次に木星近くにある小惑星群「トロヤ」の探査構想へと広がっている。又中国では独自の宇宙ステーション建設計画をすすめ二〇二〇年の火星着陸を目指している。
 新年らしい話として人類社会で現在進行中の宇宙探査計画を紹介したが、日本の宇宙探査担当の宇宙航空研究開発機構(JAXA)シニアフェローの川口淳一郎教授は、今の日本の若者へ「無から新しいものを創ることが本質だと心がけて」という言葉を贈っている。
 日本人はどちらかと云うと決められたことはきちんと実行するがやや不得意なのは、長期的な戦略構想を描くことだと云われてきた。
 混乱から抜け出し先行きを示す手や道しるべをギリシャ神話から由来した言葉で「アリアドネの糸」と云う。
 ソクラテスは「読書とは他人が辛苦して完遂したことを、容易に摂取して自己改善する最良の方法」という。
 どうやら、今年未年の「アリアドネの糸」は若者にとっては、読書することか。
 自調自考生どう考える。
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