えんじゅ:287号  


年頭言

 

申年
副校長 田村


 新年あけましておめでとう。今年は年男なる年を迎えることとなったが、催事は特段何があることもない。申年というと、猿を連想するものだが、そもそも申というのは、草木が伸びきり、果実が成熟し堅くなっていく様を表しており、動物の猿とは別とのこと。古来十二支に動物をあてたのは普及を図るためであり、申と猿には、それ以上の関係性はないようである。  翻って二〇一六年、パリで起きたテロ事件に象徴されるように、世界の混沌とした様は、二十一世紀そのものを表現しているように見え、この時代に生きる人々に一種の覚悟を求めているのではないかと感じる。未来を生きる自調自考の生徒諸君には、しっかりと世界に目を向けて、自分の道を真摯に作り上げて貰いたい。今年も皆さんにとって良い年となりますように。
 

成果は継続にある
副校長 松井


  新年おめでとうございます。  この一年が充実して、思い出が多くできる年になることを祈っています。  さて、昨年の「成果は努力に比例する」に対し、「努力しても成果が出ない」と、反論が出てきました。皆さんはどう考えますか。  中学一年生の面談でも、同じ話が出て、勉強のし方、内容の質などについて話し合ったところ、成果が出ない最も大きい要因は勉強の計画的な継続にあるということになりました。いくら継続といっても、単にダラダラやっても効果は無いし、少し頑張ってもすぐには効果が出ないという考えでした。すぐに効果の出ない勉強というのは、やっかいなもので、途中の様々な出来事を乗り越えていく人生と一緒。今年も皆んなで頑張ってみましょう。自ら納得できる日々のために。
 

慮る人
中学教頭 添田


 想像することは大事だなと、最近特に思います。人を理解するためには、まずよく話し合うことです。しかし、それが情報のやり取りだけになっていては、相手との距離は縮まりません。「彼はこんな風に考えるんだ」とか、「彼女 の気持ちは~なんだ」というような、相手の言外の思いを予想すること、そして、それを自分の言葉に置き換えて、もう一度考えてみること、それが想像するということではないでしょうか。その為に、日記をつけてみましょう。相手の気持だけではなく、自分のそのときの思いを大切にするためにも、お薦めします。LINEではなく、日記です。  残念ながら、自分中心で、想像力に欠ける人は多いです。  君たちには、自分の主張はするが、相手のことも慮る人であって欲しいと思います。
 

新しい年を迎えて
中学教頭 沼


  新年、明けましておめでとうございます。  毎年、年末になると一年を反省するとともに、「一年の計は元旦にあり」、又、縁起が良い初夢と言われる「一富士 二鷹 三茄子」という故事を思い浮かべては目標の立案に頭を悩ませ、良い夢に期待を寄せた。しかし、一度もまともな計画を立てられず、期待した夢に遭遇することもなかった。今年、?回目の年男を迎えるにあたって、その出典を調べてみると、「一年の計」は、戦国時代の智将毛利元就の言葉。「一富士」は、徳川家康が、年頭の夢として好んだものの順という説であった。時代は違えど、一年のスタートを大切に考える姿勢は共通していると思う。遅きに失した感は否めないが、今年は真剣に目標を設定した。皆さんも一年の計画を立て、目標に向かって努力を続けて下さい。
 

視点の転換
高校教頭 小河


 新しい年が明けた。SGH指定の三年目が四月より始まる。本プロジェクトはグローバルリーダーの育成が目標の一つである。家庭科の課題研究、「食」に関するいくつかの講演、プレゼン能力、英語でのコミュニケーション能力の向上など、「多角的アプローチによる交渉力」は確実に育ちつつある。君たちが活躍する時代は、グローバル化の加速、多国間でのやり取りがあたり前の時代となる。  グローバルな時代に求められるもの、その一つは視点の転換である。他国で人と接し、食を共にし、会話をする中で視点の転換の必要性を痛感する。誠実に接することで信頼が生まれる。政治体制、価値観などが異なる国でも、お互いを尊重し考えを共有することは必ずできる。最後は同じ人間、向き合うことで新しい扉は必ず開く。
 

倫理を直感する力
高校教頭 深村


希望の新年を迎えました。  昨年は講演会や特別講義に多くの卒業生を講師としてお招きすることができました。卒業後のご活躍を喜ぶとともに、「現在の私に導いてくれたのは『自調自考』でした。」の言葉を嬉しく聞きました。  現代の中高生に求められる能力として、「グローバル化対応力」「コミュニケーション能力」「問題発見・解決能力」が指摘されます。どれも本校の三つの教育目標と深く関わることは明らかです。  中でも私が注目するのは、もっとも地味な印象の「倫理感」です。多様な価値観が共存し、柔軟な発信力と受容力が求められる現代だからこそ、揺らぎに耐える確固とした核が必要です。とすると、「自調自考」「国際人」の重要性を感じた時に、一層輝きを増すはずです。今年は倫理を感じてみませんか。