えんじゅ:293号  


各種進路企画

 

歌舞伎鑑賞教室


 六月十一日(土)、高一恒例の行事である歌舞伎鑑賞教室が国立劇場で行われました。今年の演目は「新皿屋舗月雨暈」、主演は秋に父の名跡、中村芝翫を襲名する中村橋之助でした。生徒の感想を紹介します。

「古今東西悲喜交々」   一年 荻野
 時代も文化も違えど、社会に生きる人というのは、皆どこか通ずる情動があるものである。  主人公の名前を取り「魚屋宗五郎」の通称で知られるこの演目は、江戸時代の人々を写実的に描いた″世話物″に分類される。宗五郎の最愛の妹、お蔦の死をめぐる、人情味あふれる芝居だ。最大の見どころ、やけ酒に酔った宗五郎の長台詞は圧巻で、肉親を失った悲痛さ、愛情の切実さがまっすぐに飛びこんでくる。  私も含め、初めて歌舞伎を鑑賞した生徒も多かったろうが、世話物は現代人の感覚に合い、親しみやすい。音楽、そして舞台装置に彩られた役者が織りなす物語は、世界に誇れる一級の芸術品だ。
 

オペラ鑑賞教室


 毎年恒例になっているオペラ鑑賞教室に高校二年生が参加しました。  今年の演目は、鑑賞教室としては初めてとなる日本のオペラ、團伊玖磨作曲「夕鶴」でした。一九五二年の初演以来、日本はもとより、海外でも大変評価されている名作です。台本は、日本を代表する劇作家木下順二の「夕鶴」です。西洋音楽発祥のオペラではありますが、ぜひ日本語によるオペラをという願いで、團伊玖磨先生ご自身が作家にオペラ化を願い出、一言一句言葉を変更しないという条件のもとで許可が出たという逸話が残っています。  本公演と同様のキャスト、オーケストラによって演奏され、どこかヨーロッパ的でもある美しい音楽と、「鶴の恩返し」をベースにした物語に、生徒たちも見入っている様子でした。生徒の鑑賞態度も大変良かったものと思います。終演後に、皆がすぐアンケートに熱心に記入し始める姿が大変印象的でした。