えんじゅ:121号

中国修学旅行

                 (10月11日〜16日、10月12日〜17日)


時代をさかのぼって 〜’98高校修学・研修旅行 〜

思い出づくりのクラてイマツクスは、やはり泊まりがけの行事である。 気の置けない友達と学校外の環境で過ごのす日々は一種お祭りムード。自然と 笑顔も多くなる。だが、幕張の旅行行事では、生徒はいつも楽しい思い出 だけでなく、必ず何かを得て教室へ戻ってくる。 日常を離れ、時代をさかのぼって今を考える。若い感性が研ぎ澄まされる 瞬間だ。一年生は広島で、二年生は中国・九州で何を感じたのだろう。


中国が世界の大国であることは、実際に訪問してみないと分からない。 古い文物が至る所にあり、半端でない歴史の重みに圧倒される。 街は朝から晩まで人があふれ、エネルギッシュに動き回っている。 新しい建築物が次々と建ち並び、有ったはずの建物は早くも取り壊され、 次の工事に入っている。変化のスピードも凄まじいものがある。 買い物をするにも駆け引き(戦争か?)がある。言葉を交わし合い、 初めて契約が成立する。全てが「生」のエネルギーに満ちているのだ。 中国と比べるとなんと目本は淡泊な国なのか。これを目の当たりにした 生徒は何を考えたのだろうと、胸躍らせて生徒の感想文に眼をやる。

万里の長城にて
円明園にて

「街全体にこれから発展する国のエネルギーを感じつつも、経済発展にばかり 眼を奪われているようにも見える。環境問題まで考える余裕はないのかも しれない。」「土産物屋の店員とのやりとりが面白い。中国人の生活する パワーに圧倒された。」「無秩序なように見えるが、すれすれで事故が 起こらない不思議な交通事情。見えない秩序があるようだ。」「万里の長城、 兵馬俑、故宮の大きさに感動。」「高層マンションに住む上流家庭があれば、 街の地下道で物乞いをする親子がいるとは。貧冨の差をまざまざ見せつけられ、 衝撃を感じた。」

「抗日記念館の展示を見学。日本人として悲しくつらかったが、過去の悲惨な 戦争に思いをめぐらせ、現在、そして将来の日中関係、アジアでの日本の立場 を考えさせれられた。」「西洋文化に染まっていない独特の雰囲気。日本も 他人の真似ぱかりでなく独自の文化を大切にして、本当の意昧での経済先進国 を目指すべきだ。」など、様々な意見を眼にした。多感なこの時期に、 日本とは違う事情の国を体感する意味が此処にある。

西安にて
華清池にて

だが、中には食事の脂っぽさ、観光地の物売りのしつこさ、 愛想のなさをばかりを指摘して、日本と比較して、汚い、 まずい、最悪、といった感想もある。昼夜、中華料理で日本食 が恋しくなるのは当然だろう。素直な気持ちだとは思う。しかし、 日本を一歩出れば、その国の文化が有るのは当然だ。国土 も歴史も其処に住む人間も、島国の私達が想像もできない スケールの大きさの国。だからこそ、中国には大国独特の雰囲気や 考え方がある。それをただの訪間者の私達が是非を判断し、 それが全てだ、とするのは少々軽率だろう。旅に何を求めるか、 が人によって違うのだと改めて感じた。

いずれにしても、大きな事故も病気もなく、無事に帰ってきた。二団に関して は大幅な変更がなく、予定通りの日程をこなすことができた。 以前に比べ食事もトイレも格段に改善されているとの事。今後 更に快適な旅になるだろう、ただ、観光用の待遇の度が過ぎると 現地の生活の匂いを感じられなくなるのではと、個人的には心配だ。


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平成10年(1998)11月16日改訂。