えんじゅ:133号

後期地区別保護者懇談会報告

校長 田村哲夫


 年度に2回の行事として定着した地区別保護者懇談会は各地区役員の 計画のもとに後期が開催され、保護者の皆様にはご多用中のところを各 会場へご参集頂き、誠に有り難うございました。

 アカウンタビリティ(説明責任)という観点から学校の現況や、教育 環境について、資料を交えてご報告、解説し、談話と懇談の時間を含め、 おおいに充実した運びとなりました。

 今回は趣向を変え、ビデオ上映からスタートさせて頂きました。平成 11年7月28日の「筑紫哲也NEWS23」にて放映された「14歳 それから〜」と題された、本校中学3年生の普通の1日のルポルタージ ュです。映像から普段の学校生活の雰囲気や人間形成期の生徒の様子に、 それぞれ様々に感じられたかと思います。

 子供から大人へと大きく転換する時期の中高生は、体と精神がアンバ ランスに発達し、そのギャップを埋めようとバランスをとろうとする。 学習と部活動に若いエネルギーを発散させ、意欲あふれる日もあれば、 悩みや不安に曇る日もあり、日々、「葛藤する存在」。そんな自分をみ つめ、他と自分のスタンスをコントロールして確かにしていきます。こ れが青春の情熱=「生きる力」なのです。

 学校生活は、自らのアイデンティティを深め、社会性や、個性を、個 々に達成感を得つつ、よりよく伸ばし、社会的な存在として目覚めてい く貴重な時間ですから、校長講話では「自分探し」のヒントとなるよう に生徒の成長段階に合わせて学年ごとのテーマで年間シラパスを作り話 かけるよう工夫しています。

 さて、世紀つなぐ境目の年、中央教育審議会・大学審議会では学校制 度の改革、入試改革、教育内容などの変化に対応した様々な作業が大車 輪のスピードで進められています。渦中の委員の1人として山積みする 課題の中から、「少子化」、「大学全入時代」、「ユニバーサル化」の 図式により予測される大学の将来像と、入試の変化について方向性をお 話し、審議進行中の「高校・大学の接続の改善」の経過についてもお伝 えしました。

 昨年は学力低下論が大学側からの指摘にはじまり、学力とは何かとい う論議が大いに沸き、知識のつめ込みの弊害や、学習意欲の動機付けが 問題になりました。学力の定義付けは難しいが、目に見える技術的能力 プラス、潜在的能力(生きる力)の活性化が課題と考えています。

 これから、これまでの教育課程の概念にはない「総合学習」が始まり ますが、「考え込む」従来の学力観、教育観を転換して、クロスカリキ ュラムを活用するなど、学習を創造的につくりあげ、自発的に「学ぶ」 教育が重要となってきます。学習環境の変化、新学力観に対応し、より 一層「自調自考」を意識していきます。

 本校生徒にとって影響の大きい完全学校5日制の導入については、教 育改革と学校運営の調和とバランスを図り、試行して見通しをつけ、実 施したいと考えています。

 教育の転換期を乗り越え、変化の時代に対応できる知性を伴った資質 と能力の育成を願って次回、また皆様と対話できることを楽しみにして おります。


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平成12年(2000) 3月22日改訂