えんじゅ:134号校長先生講話 |
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「自調自考」を考える(そのCXXXU)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
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3月、平成12年西暦2000年渋谷幕張高15期生の卒業の時。 「21世紀からの留学4期生」である。 新しい1000年代最初の卒業生を送る。いま、「21世紀にど う入っていくか」が最大のテーマとなる生き方が迫って来た。 ここで1970年代にアメリカで人のライフスタイルをさす言葉と して生まれた「ミーイズム」自己主義という生き方を考えてみよう。 ドイツではこれを「オーネ・ミッヒ」自分は除いてという云い方で 表したが、要するに「自分や自分の所属する集団以外には無関心なこ と」を意味する生き方である。 21世紀の生き方を考えるに、こうした生き方はどうなのだろうか。 ミーイズムは自分が何より大切だという考え方である。然しその為 には「自分」が何かが分かっている必要があろう。若者にとって「自 分」が勿論わかっているものではない。 若者とは、多くのことに好奇心を持ち、他からのいろいろな刺激を 受けて「自分」を作り上げていく存在であろう。 教養という言葉がある。 「ひろい知識を身につけ、深くゆたかな心をもつこと。」英語で「カ ルチャー」と云い語源は「カルティペイト」耕すという意味である。 つまり自分と関係のないと思う人達の仕事も“関係ない”と思わず、 好奇心を働かせて理解する、これによって新しい自分が見えてくると いうことである。つまりいろいろな刺激というものを好奇心でフォロ ーして、それを自分の中で耕すという作業が自分を作ることなのであ ろう。新しいものが生まれる、独創的な作品が出来るのはこうした手 順によってなのである。 世界史上、人類社会の大転機と云われる「ルネッサンス」も、チャ ールス・ハスキンス(英)の名著「12世紀のルネッサンス」に説き 明かされている如く、「地中海を舞台とした、イスラム世界とキリス ト世界という全く異なる文化の接触、閲ぎ合い」から生まれた物であ る。又地中海世界からは三代宗教(仏教・キリスト教・イスラム教) のうち2つまでが生まれ、哲学(ギリシャ哲学)が生まれ、民主主義 政体まで含めたすべての政治形態が生まれたのは、まさにオリエント (東洋)とオクシデント(西洋)の接触とその刺激・反応の結果であ ったと云われている。 21世紀に向け、今人類社会は、グローバリズムという言葉を中軸 として変化しようとしている。フランスのリヨンサミットからと云わ れるが、昨年のドイツのケルンサミットのコミュニケも又今年の沖縄 サミットでもグローバリズムという考え、つまり国際化、多様な文化 の接触交流を軸として全ての分野=政治経済科学そして教育、人間の 生き方文化価値観迄もとりこんだ=での新しいものが生まれようとし ている。巨大なパラダイム・チェンジがはじまろうとしているのだ。 そこで21世紀に生きる自調自考の幕張生諸君。 ミーイズムをどう思う。 |
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