えんじゅ:134号

開校記念講演会

2月23日(水)

講師 医師・登山家 今井通子先生


 初の女性講師として今井通子先生をお迎えした本年度の開校記念講演会 は、保護者の方の出席も200名を超え、開演前から熱気に包まれていた。

 講演は、まず人間の赤ん坊の五感の発達段階の話から始まった。今井先 生独特のハキハキした口調で、大人になるということの意味までを医師の 立場からわかりやすく説明して下さった。

 両親ともに医師という家庭環境の中で育った先生の子供時代の話は、生 徒達にはとてもうらやましいものであったようだ。夕食は家族全員で食べ、 その後は必ず団欒の時を持つ。休日は毎週家族で自然の中へ出かける。衣 服などは倹約してその分のお金は遊びに遣う。少々窮屈に感じたこともあ ったそうだが、その時の納得の仕方が先生らしい。(ここは人の家だから しょうがない。自分の家を持ったら自由にやろう。)常に前向きな姿勢は この頃から培われていたようだ。そして、いろいろな自然に親しみ、遊ぶ 中で、多くの発見や経験を積み重ねてきたことが、後に登山家となる基盤 になったことは想像に難くない。

 講演の半ばで「心理テスト」が行われた。紙面の都合で詳細は記せない が、講演終了後には生徒達のみならず職員室でも話題になったほど興味深 いものであった。

 さらに話題は人間の脳へと移った。脳の仕組みをコンピュータに例え、 いくらでも上書きが可能なこと、記憶は絶対に消失しないこと、そして、 脳には目標達成を楽しむ性質があり、1つの目標が達成されるとすぐに 次の新しい目標を探すことなどを、ご自身の経験を踏まえてお話になった。 様々なことにチャレンジしながらこれからの時代を生きて行く生徒達へ の励ましの意味も含まれていたのかも知れない。

 最後に、ユニークなアドバイスをしてくださった。青春時代は頭の中 がゴチャゴチャでかまわない。むしろその方が正常で、成長するにつれ て整理されていくものである。疑問はいずれ解決されると信じて生きて ほしい、というものである。この話は思春期真っ只中の生徒達にとって、 目からウロコの落ちる思いであったにちがいない。


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平成12年(2000) 3月23日改訂