えんじゅ:140号校長先生講話 |
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「自調自考」を考える(そのCXXXV)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
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渋谷幕張中学・高等学校の2学期が終了する。 いよいよ冬休みに入り、再び登校する時は新しい世紀、21世紀となる。 21世紀を迎える「20世紀最後の学期」を今送ろうとしている。 21世紀に活躍する人々を送り出そうという目標で建学された私達の幕張中学・高等学校の関係者としては、この時はまことに重みのある瞬間である。 そこで、今年を考えてみると、「暗い世紀末」であったのか、「明るさの見える夜明け前」であったのか。 「17才の犯罪」と名付けられた今春の佐賀市のバスジャック事件は「少年法改正」を生み、一方、親から子どもへの暴力が報ぜられ「児童虐待防止法」が施行された。そして学校での校内暴力、登校拒否も減らず、「家庭教育」や「子育て」支援の重要性が改めて力説された。こうした状況の下、首相直属の諮問機関として「教育改革国民会議」が発足し、明るい21世紀を目指して「個人と公(おおやけ)」の関係の議論等を通じて、新しい世紀の日本人像を求める論議が展開された。会議の中間報告には「教育を変える17の提案」という副題で、「教育の原点は家庭であることを自覚する」「学校は道徳を教えることをためらわない」「奉仕活動を全員が行うようにする」「問題を起こす子どもへの教育を曖昧にしない」などの提案を行なった。 ここでは、「奉仕活動」と「教育基本法の見直し」の2つの提案をめぐって、賛否共全国的に論議が展開されている。現今の教育病理に蝕まれた学校制度への閉塞感を打ち破るものとして、明るい未来への手掛りに ならないかと世の関心を引きつけたのであった。 10月、日本人として9人目、2000年ノーベル化学賞が白川英樹筑波大名誉教授に授与されることが報ぜられた。世紀末の暗い世相に、新しい世紀の明るい予感がさしこむように新聞に活字が躍った。受賞時、白川教授は「自分が理科が好きになったきっかけは、小学生の時桜の葉を集中して観察しその自然の造化の妙に感動したことから始まった」と述べられていたことには、強い印象を受けた。 一方、本校での世紀末の大きな出来事として、ノーベル賞受賞者による「教育フォーラム」(11月)があった。白川教授の直前、日本人として8人目の受賞者大江健三郎氏とハロルド・クロート教授(化学賞、サセックス大)の両氏によるもので、生 徒諸君の明るい21世紀を支えてくれる、深く大きな感銘を残してくれたイベントであった。そしてサッカーアジア大会での日本の優勝と殆ど同時期に念願の千葉県サッカー大会での本校 チームの初優勝、全国大会出場が決まった。技術体力の圧倒的劣勢を集中力とチームワークで補い勝利した結果であった。 まさにフォーラムでノーベル賞受賞者達の指摘した「集中力」の重要さをここでも確認出来た。「自調自考」の幕張生諸君、明るい21世紀へ、「集中力」をと考えるが。 |
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