えんじゅ:141号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCXXXW)


幕張高等学校・附属中学校校長

田 村 哲 夫

 西暦2001年、平成13年辛巳(かのとみ) の年を迎える。

  いよいよ21世紀である。

 辛(かのと)は十干(かん)の第8位。五行では金(か)の と弟(と)、史記によれば 「辛者言萬物之辛生、故日辛」とあり、 ”あたらしい”を意味すると云う。 そして巳(み)は十二支の第6位。「巳起也」 と言い”はじまる”の意があると言う。

 元号使用以前は十干十二支が 使われていた。いずれにせよ今年の干支は21世紀のはじまりにふさわしい。 嘗て大晦日の夜、ロンドンで過ごしたことがあったが、 大晦日のロンドンタイムスの紙面の大半は翌年の占星予想ホロスコープ であった。洋の東西を問わず、新しい年に人は希望 をかけるものだ。

 高浜虚子の句に「去年今年、貫く棒の如きもの」がある。

 年の瀬に新しい年(特に新しい世紀)を想う時必らず浮かんでくる句 である。

 年をまたがって、私達に追ってく るものを考えさせる。

 21世紀に活躍する人才を育てるという目標で 創立された渋谷幕張中・高校はその為に教育目標を 「自調自考」「国際人」そして「高い 倫理感」とした。この3つの教育テ ーマは今後も変ることなく、私達に 問いかけ続けることになるが、21世紀を迎えるにあたり、ここで 「国際人」について考えてみる。

 「国際人」は直訳すれば「インタ ーナショナルパーソン」とでも言う か、この言葉は英語を母語としてい る人には通用しない英語である。誰 れでも「日本人」か「英国人」等か であって、「国際人」は存在しない。 正確に言えば「国際理解できる人」 と表現すれば理解されよう。

 そこでリヨン、ケルンそして昨年 の沖縄と続いたサミットで議題の中 心となった「グローバル」という言 葉に注目したい。この言葉を提案し たのは、改革をかかげて颯爽(さっそう)と登場 した英国プレア首相であったが、世 紀末に生まれ内容を養って育ってき た「グローバル」という概念は、ま さに21世紀に相応(ふさわ)しい。「国際 化」という言葉には、何となく受身 の匂いが感ぜられる。つまり科学技 術の進展による情報化が想像を絶し てすすみ、地理的物理的距離感がな くなった結果、やむをえずという感 じがどうしても残ってしまう。

 21世紀、事態はそれではす まなくなろう。世界規模での21 世紀の人類社会の課題は「人口の爆 発的増加」「南北間題・貧富の拡大」 そして「負の遺産としての環境破壊」であろう。 逆に日本での課題は 「少子高齢化による人口減少」 「I(C)T革命と言われる技術革新の 陰の部分・人間疎外」そして「伝統 文化そして宗教とのからみのなかで の個(こ)と公(おおやけ)の関係性」等となろうか。 特に3番日の課題は、戦後50年に わたって努力した「個人」の確立の 延長線上にどのような「公」意識を 作り上げるかまさに21世紀の日本の命運を決する 重いテーマとなろう。そしてこうした課題にとり組む には、受身ではない、高いグローバ ルな視野を持っての解決が求められ る。新しい時代の「教養」とも言え よう。自調自考の幕張生はどう考え るか。


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平成13年(2001) 1月23日改訂