えんじゅ:147号

視点・ボランティア
カンボジア対人地雷除去活動支援
シンガポール発、渋谷・幕張へ

 新聞(9月14日朝日都内、 15日千葉版)にてご存じの方 も多いと思いますが、シンガポ ール校でのボランティア実践の 例を1つ紹介します。

 カンボジアで地雷博物館を営 み、撤去活動にも従事する現地 青年、アキ・ラ氏。推定28 歳。5歳にして両親を失い(罪 なき処刑とか)、ベトナム戦争 後のカンボジア内戦時代を兵士 として生き続けました。内戦に 終止符が打たれ、国連の平和維 持活動が始まったのはおよそ10 年前で、いまだ記憶に新しい出 来事です。アキ・ラ氏は平和の 喜びを知り、祖国の再建を志し て地雷撤去の活動を始めます。 それは自らの手で埋めた地雷 を、自らの手で再び掘り起こす という皮肉な作業でした。そん な一青年の地道な活動を意気に 感じたシンガポール校高3女子 のあるグループが、氏が記し、 自ら営む地雷博物館の解説書と していた手記を和訳して日本人 観光者向けのパンフに仕立て直 すという案を立てたのです。夏 目洋子先生の指導を得て、それ は有志生徒9名(池内・上田・ 四宮・神保・助走・谷本・富 室・村上・山口の皆さん)の夏 休みの活動となりました。

 翻訳は受験を控えた高校生の 仕事とは思えぬ緊密さをもって アキ・ラ氏の体験を再現してい ます。互いに母国語を用いない コミュニケーションでありなが ら、これほどの質感を表現し得 たのは、「生」の共鳴があった からこそでしょう。「ボランテ ィアのかたち」が模索される昨 今ですが、このグループの実践 はボランティアの原点を私たち に示唆します。学園では冊子を 渋谷校、幕張校それぞれの文化 祭で販売し、また、別に義援金 を募りました。用意した90部 の冊子は完売、募金総額65, 964円を集めました。

 2001年9月11日という 年月日が歴史に刻まれ、その 「歴史」は今後どう推移してゆ くのでしょう。「平和」とか 「世界」ということに主体的に 向かわなくてはならない時代で す。


えんじゅ表紙へ

学校表紙(もくじ)へ


平成13年(2001)10月11日改訂