えんじゅ:159号校長先生講話 |
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「自調自考」を考える(そのCLT)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
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西暦2003年、平成15年、癸 未(みずのとひつじ)の年を迎える。 21世紀、3年目となる。 癸(き)は十干の第10 位。五行では水弟(みずのと)。 2本の木を十字に組 み合わせ、日の出、 日の入りをはかり、 東西南北の方位を知 る器具の象形で「こ れからのことをはか る」の意を表わして いる。 未(み)は木に若い枝 がのびた形にかたど り、わかい小さいの 意を表わし、十二支 の8位羊(ひつじ)をあてる。 象木重枝葉也。 「美」や「善」などよきものを表 す言葉には多く「羊」の字がつい ている(陳舜臣・弥縫録(びほうろく))そうで、 その縁起のいいひつじ年が、生徒 諸君にとって明るい素晴らしい年 になることを祈りたい。然し、21 世紀は、9・11の同時多発 テロ事件からその幕を開けたと言 われている。つまり世界は、経済 格差から来る南北間題、文化=レ ヴィストロースによれば、「言語」 「技術」「社会的組織」「慣習」そ して「宗教的信条」の組み合せ。 人間文化の共通部品=の摩擦や衝 突から来る対立抗争といった重大 な問題の解決を前世紀から引き続 き迫られている状況にいると考え られる。 こうした状況を打開する為、世 界は一層の国際化、情報化を地球 規模で進める必要がある。そして これに応じた「教育改革」が世界 規模でとりくまれていることも事 実である。 欧州では、サッチャー首相就任 によるサッチャー教育改革=88 年教育法=が英国で、フランスで は、経済再建の為の教育改革とし て、91年ジョスパン法が制定さ れた。又米国でも、レーガン大統 領時代の「危機に立つ国家Nation at Risks 」レポートを出発点とする 教育的改革が「2000年アメリカ教 育改革計画」として公表実施され つつある。韓国でも98年「韓国 教育基本計画」が策定された。 日本では、今まさに「教育改 革」進行中であって、その論議は 「教育基本法改正論議」に集約され ていると考えられる。 第2次大戦の敗戦という教訓の 下、47年、新生日本の姿を平和 国家、文化国家に求め、その為に 必要な人材養成という観点から作 られた教育制度、内容を次のよう に変えようというのである。 教育の目標は、「自己実現」を めざす自立した人間の育成におか れ、「日本人」としてのアイデン ティティ、「知」の世紀をリードす る創造性に富む人、国際社会に生 きる教養ある日本人、社会の形成 に主体的に参画する日本人等が実 現することを目指すことになる。 中高生にとってその為に必要な こととして、「自らの力で目標を定 め実現する力」=教養=を身につ けることで、(1)読書重視・論理的 に粘り強く考える訓練。(2)将来と の結びつきから学ぶ意欲を引き出 す。(3)ボランティア等社会体験活 動の重視が具体行動となる。 改革中の英国でこの冬大学入試 (AVレベル)で1500人の受験生 に合・不合の混乱があった。日本 でも混乱が起るかも。どんなこと になっても、自分の力をしっかり と育て、人生設計全体を見据えた 考えをもっていれば何の心配もな い。自調自考の幕張生諸君よ。
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平成15年(2003) 1月 7日改訂