えんじゅ:159号

高校副校長・各学年主任年頭言


いのちの輝き   高校副校長  阿曽

 新年おめでとう。

 絶えまなく確実に通りすぎる 時の流れを、年ごとに区切ると いう知恵は、とかく惰性に泥み やすい人の心を覚醒させる効果 がある。諸君もそれぞれに年頭 の感慨があったと思う。

 それに因んで、相田みつをさ んの詩「自分の番」を紹介する。 相田さんは「いのちの輝き」を 生涯のテーマとした詩人で、ま たそれらを書で表現している。

 「父と母とで二人
 父と母の両親で四人
 そのまた両親で八人
 こうしてかぞえてゆくと
 十代前で千二十四人
 二十代前では……?
 なんと百万人を越すんです

 過去無量の
 いのちのバトンを受けついで
 いまここに
 自分の番を生きている
 それがあなたのいのちです
 それがわたしのいのちです」

 少なくとも諸君の目の届く父 母や祖父母がみな、親の期待の もとで自立にむけて悩んだ年代 を経験していることに、諸君は 気づくべきである。時代の違い や個性の違いを言う前に、子に 期待しない親がいたかどうかも。

 諸君の澄んだ瞳、温かい心、 そして大きな未来、これを期待 せずして何を頼めるだろうか。 諸君が輝く星である所以である。

 再び相田さんの詩「ただいる だけで」を紹介しよう。

 「あなたがそこに
 ただいるだけで
 その場の空気が
 あかるくなる

 あなたがそこに
 ただいるだけで
 みんなのこころが
 やすらぐ

 そんなあなたに
 わたしもなりたい」

 では、どうぞ今年もお元気で。


一度のチャンス   第1学年主任  山崎

 橙のめでたくあるや餅の上 (吉田冬葉)

 この句に触発されたわけでは ないが、最近ミカンの苗木を1 本買った。「温州みかん」と書か れた札がつけてあり、少し色づ いた実が1つ生っていた。

 悩みは、このミカンをいつも ぎ取って食べればよいかという ことである。3つ4つあるのな ら1つ試食してみればよいが、 1つしかついていないので困る。

 そこで、このミカン1箇の為 に本を買って調べてみたが、悩 みはますます深まるばかり、同 じ品種でも食べ頃は数ヶ月の差 があることがわかったのだ。

 そうはいうものの、このミカ ンが味や香りを最大限発揮して 私の舌を満足させる、その時が きっとあるはずだ。いつこのミ カンを切り取ればよいのか。1 回しかないチャンスをものにす るのは何とも難しいものだ。


見えない力を   第2学年主任  高橋

 進路の実現に向かって努力し なければならない年を迎えまし た。希望と現実のはざまで、 迷ったり悩んだりしている人も 多いと思います。しかし、今の 力が自分が持っている力のすべ てではありません。今見えてい る力より、見えていない力の方 が大きいのではないでしょうか。 その力を引き出すには「将来こ れをやりたい」という強い希望 を持つことです。単なるブーム や偏差値に左右されない大きな 希望を抱いてください。社会人 になってからも、学ぶことは生 涯続きます。自分の適性や興味 関心を客観的にとらえ、他人に 惑わされない強い希望を持って ください。そして希望を達成す るにはどうすれば良いのか冷静 に判断し、それを着実に実践す ることです。自分を信じて、今 はまだ見えない大きな力を自分 自身から引き出してください。


険しい道を行く人へ   第3学年主任  池口

 Aさん。可愛い仔羊のイラス トで飾られた年賀状ありがとう。 年が明けて大学入試が一気に近 くなりましたね。今年はお正月 中も終日机に向かって過ごした 由。そんなことができるのも、 高い目標と必ずやそれを実現し たいという若い情熱の後押しが あるからなのでしょう。

 どこまでやってもこれで完璧 などということのない受験勉強。 不安に囚われ、何もかも投げ出 してしまいたい衝動に襲われる 時もあるとか。でも、あなただ けがそうなのではありません。誰 もが不安を抱えながら、なお夢 を実現するために、奮闘し続け ているのでしょう。あなただっ てあんなに頑張ってきたではあ りませんか。自信をもって、最 後の一瞬までカを尽くしてくだ さい。笑顔とともに朗報が届く ことを信じています。私からの 「おめでとう」はその時に。


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平成15年(2003) 1月 7日改訂