えんじゅ:164号校長先生講話 |
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「自調自考」を考える(そのCLY)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
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夏休みを迎える。生徒諸君は、毎日の生活の過ごし方の主導権を学校から取りもどすことになる。中・高校生の日常は、 平均すると、睡眠7時間、学校で6時間半、学校外学習2時間半、テレビ2時間、移動1時間余。(文部科学省調べ) 夏休みは、毎日10時間以上の時間をどのように使うかを、一人一人の考えで決める時になる。 進路を目前に、夏休みが天王山と考え計画を練る人、自分の学習上の課題を決め、それにまとめて集中した時間活用を 考える人、体力向上或は旅行を計画する人、読書計画を実行する等々、この6週間は、まさに自調自考の実践、精神の発揮 出来る重要な時期となる。更にはこの時期の過ごし方如何で2学期からの学校生活に大きな影響があることを承知した上で、 実りのある6週間としてほしい。 ところで、テクノロジー・レビュー誌(米)が、世界の企業が開発した4大技術の1つに、日立基礎研究所の主管研究長 小泉さんの「光トポグラフィー」を選んだ。(2002年度発明) 頭骨を透過するレーザー光で瞬時に脳活動を画像化する技術で、教育分野に巨大な衝撃を与える可能性があるという選考 理由であった。 現在、脳研究に広く使われている機能的MRI(核磁気共鳴映像法)という方法を考え出したものも日本人小川博士(当 時ベル研究所(米))である。これによって、人間に特有の心理の中枢、バイリンガルの脳の使い方、算数をする時の脳活 動など、これまで調べようがなかったことが、今はっきり分かっている。 この方法は、どちらも脳細胞が働くと酸素を消費することを利用して測定する。レーザー光や磁気を頭の外から当て、ヘ モグロビンの働きなどから、何か課題に取り組んでいる時の脳細胞の活動を探る。放射性物質や電極を脳に刺したりする必 要なく、計測器具を頭に取付けるだけで測定出来るので、こうした脳科学の成果を、画像化を含めて、教育に結びつける研 究が急速に発達した。既に前頭葉の発達と改善システム開発や育児と教育の感受性期の研究がすすめられ、更に脳の発達と 学習メカニズムの解明もはじまっている。つまる処、教育は脳教育である以上、この研究は、大きな成果を挙げると考えら れる。7月16日(水)に本校で開催された講演会の講師「川島博士」(東北大医学部教授)は、世界の先頭に立つこの日 本の脳科学の最先端の研究者である。先生によれば、テレビゲーム、テレビ鑑賞の際の脳の働きは「癒(イヤ)しの音楽」 を楽しんでいる時の脳細胞の働きと同じであり、新しいことを考える創造的な活動をしている脳細胞の働き方は、読書(活 字を読む)や数学の計算(難易は無関係)をする時の脳細胞の働き方(働く部分とその関連も含めて)と殆(ホトン)ど同 じであることがわかっている。 自調自考、脳の最も発達する時期にある我が幕張中高生よ、夏休み中に能力を高める読書、計算に励むことを忘れずに。
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平成15年(2003) 7月19日改訂