えんじゅ:182号


21th メモリアルコンサート


 昨年に引き続き、東京芸術大 学の学生をメンバーとするレボ リューションアンサンブルを迎 えて開催されました。在校生と 年齢が近い親近感もあり、会場 は暖かい雰囲気で始まりました 。今年もソリストとして在校 生が舞台に上りました。オーケ ストラとの共演は簡単に出来る ものではなく、本校生徒の層の 厚さには毎年驚かされます。今 年のソリストのA.Kさんは、 抒情的かつロマンチックな演奏 で、聴衆を魅了しました。



オーケストラとの夢の協演          (A.K)

 出番直前の舞台袖。序々に速 まる心臓の鼓動の音を感じなが ら舞台へと歩き出す。落ち着か なくてはと思う気持ちとは裏腹 に、緊張してぎこちない私がそ こにいた。曲が始まる。オーケ ストラの音を体全体で感じなが ら、私は次第に曲に入り込むこ とが出来た。甘い旋律のメロデ ィや、壮大なスケールの展開が 繰り広げられ、自然とオーケス トラと共に呼吸し一体となって いく。弾き終えた時は、達成感 と安心感、もう終わってしまっ たのかという名残惜しいような 気持ちが複雑に絡み合った格別 な気分だった。聴衆の皆様の温 かい拍手に包まれ、思わず胸が 熱くなる。私を支えてくださっ た全ての方々への感謝の気持ち でいっぱいであった。

 指揮者の先生が、 「長い年月が経っても人々の心 に色褪せずに残り続ける演奏が 出来る人が本物の演奏家なんだ よ」と、レッスン時に私におっ しゃって下さった言葉が異まで も強く心に残っている。私もい つの日かそんな演奏が出来るよ うに、この先も頑張っていこう と思う。



高一歌舞伎鑑卓教室




 さる六月十一日、高校一年生 の恒例行事である、歌舞伎鑑賞 教室が今年も実施されました。 演目は『毛抜』。磁石が小道具 として登場する。歌舞伎十八番 の一つです。  豪華な衣裳や迫力ある見得に 圧倒されながら、歌舞伎の世界 を初体験した生徒達は、様々な 感想を抱いたようです。江戸時 代の自然科学の知識量、女形の 不思議さ、古典語の抑揚など、 個別に課題を抱えた表情で、一 同、帰路へついていきました。



歌舞伎 その本質なるもの          (M.S)

 演劇が好きだ。でも、歌舞伎 となると話は別だ。古典芸能と いう格調高いベールに包まれて いる歌舞伎。退屈に違いない。 私は近づくのを躊躍していた。

 しかし、歌舞伎教室を見て、 私の先入観は打ち砕かれた。な んて滑稽なのだろう。ゴージャ スなのにパンクでアナーキー。 それが歌舞伎の本質だったのだ。

 今回の演目、「毛抜」は主人 公が姫の髪の逆立つ病は悪家老 の陰謀だと見抜く話である。曲 者が磁石で操っていたので、鉄 の髪飾りをつけた姫の髪が逆立 ったというから可笑しい。そん な強力な磁石があるのだろうか。 髪が逆立つはずがないなどと考 えてしまうのは、私が現代人だ からだろう。

 また、悪を暴いた主人公がス マートなヒーローでないのも変 わっている。美少年にも女性に も興味を抱くという、かなり危 ない人物設定だ。その人物が振 られた自分を恥じて、「面目次第 もございません」と観客に語り かけるなど、舞台と客席が近い ことも新鮮だった。

 歌舞伎の醍醐味は、その構成 の斬新さにあるのだろう。
 昔の人々も、歌舞伎のレトロ な荒唐無稽さを楽しんだに違い ない。
 日本の古典文化に触れるのも 悪くはない。そう思った一日だ った。



男の中のおんな          (M.M)

 近頃、女性が男性化している。 三歩下がって大人しく男性に従 うのが美徳とされた時代は終わ り、女性にも自己確立が求めら れる現代。こうしたメンタル変 化は大いに喜ばしいが、それに 伴う外見の変化は如何か。

渋谷 に住むギャルを見てほしい。品 のない言葉や公衆を憚らない野 蛮な行為が、電車内、コンビニ、 路上といった日常の中でも目に 付く。こうした女性の定義が目 まぐるしく変わり、先々が憂慮 される中、我々は歌舞伎へ行っ た。

 幕が開いた瞬間を覚えている だろうか。局の若菜が二人の男 の中に入り争いを制止しょうと していた場面。頭を殴られたよ うな衝撃が疾った。彼女を演じ ているのが男性? 確かに声は 低いがあれは女性にしか見えな い。その後登場した錦の前と巻 絹にも同様に驚かされた。男の 骨格を殺す為に工夫された着物 の着方。首や体の倒し方一つで ああなるのか。そしてあの美し い手の所作。彼女達から醸し出 される儚げな守りたくなるよう な色気。思わず溜息が漏れる程 見事であった。

 歌舞伎では一つの女性像が大 成されている。彼女達には古来 の謙虚な美と芯のある強さがあ る。それは演じている男性の信 念と誇りからくる強さかもしれ ない。歌舞伎俳優に女性の本当 の美しきを観た。

えんじゅ表紙へ

学校表紙(もくじ)へ

平成17年(2005)7月6日改訂