えんじゅ:185号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCLXXVl)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


 秋酣、霜月。  古来より日本では、収穫の完 了、一年の農事の終了を神と共 に喜び、神に豊饒を感謝する 《霜月祭り》を祝っていた。

 米国ではこの時期“Trick or treat” と云って楽しく子供達が菓子をねだって 廻る Halloween =悪魔除けの南瓜を戸口 に掛ける=が終わり、十一月の第四木曜 日、収穫感謝日 Thanks giving day を 迎える。欧州でも米国ほどではないが Halloween と南瓜は習慣となっているようだ。

 秋はこのように祝いの時であると同時に、冬を 迎えようとする時、すべての生物の活力が 失なわれ人間も例外ではなく、活力を衰え させる。そこで日本では低下した我々人間 の肉体に活力を吹きこむ神事も古来より行 なわれていた。

 こうした自然との調和のなか で生まれた日本古来の神事にも 似て、学校でも二学期は一年間 のまとめのように、学園祭、修 学旅行、研修旅行が実施され、 学校生活に一層の活力を吹き込 むことが計画実施されている。

 各学年、高二の中国研修=日 本の文化の淵源を訪ね併せて現 代中国の発展を確かめる旅=、 高一の長崎平和研修、中三の奈 良、中二の会津若松そして中一 の南房総(鴨川)研修と、場所 を変えてそれぞれの課題の下、 充実した成果を挙げた。

 ところでこの時期、生徒諸君 の「知的生き甲斐」を求める 「読書週間」が催される。十月 二十七日の「文字活字文化の日」 (文字活字文化振興法)から二 週間。今年の標語は「本を読ん でいる君が好き」。

 「読書」の「読」は「声を出 してよむ」の意だから、書物を たまには、朗々と読むのもよいだ ろう。西欧でもこの朗読はよく 行なわれるもので、この点は洋 の東西を問わず同じである。

 最近、発表された「情動の科 学的解明と教育等への応用に関 する検討会」答申が、「脳科学 と教育」に関しての内容である ので、大変な関心を呼んでいる。 脳機能の非侵襲的計測=人間の 生きた脳活動を外科手術を必要 とせずに観察出来る計測手段 が90年代に開発。機能的磁気共 鳴描画(fMRI)、脳磁図 (MEG)、近赤外分光描図(光 トポグラフィー)などがある。 =が可能となり、人間の情動 (怒り、喜び、悲しみ、憎しみ) と脳の関係が次第に明らかにな りつつある。

今回は特に若者の 「キレル」状態と脳の関係が示 された。研究成果の集積、学際 的研究活動及測定技術も充分で はない故、結論は慎重にではあるが どうやら「大脳皮質内側部の領 域にある扁桃体等の機能不全 (ベンゾジアゼピン)」が「キレ ル」状況と密接な関係があり、 そこに海馬(記憶容量)の近辺 が働らいていることもわかった。 意欲やヤル気もここにかかわっ ているようだ。そしてこれ等の 旧い脳部分の強化には、「早寝、 早起、朝ごはん」といった生活 習慣が大切であると報じている。

大脳皮質と云われる新しい脳部 分が教育の対策と考えていた考 え方にとり、大変新鮮な提案で あった。前回の脳トレーニング 法と併せて考えさせるものである。 白調自考の諸君はどう考える。

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平成17年(2005)11月30日改訂