えんじゅ:196号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCLXXXVll)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


 渋谷幕張中学高校の二学期 が終了する。
 冬休み後、再び登校する時 は、二十一世紀七年目となる。
 世紀末の混迷から、いよいよ 新しい世紀、時代に向けて「願 い」の構築の動き がはっきりしてき た。
 レヴィ=スト ロース (仏・比較 文化学者)によれ ば文化とは「学習 によって社会から 修得した生活の仕 方の総称。衣食住 から技術、学問、 芸術、道徳、宗教 など物心両面にわ たる生活形成の様 式と内容」を意味 する。

 そして文化には、ストックと しての文化とフローとしてのも のがある。この観点で我が国二 十一世紀の文化の方向を考え る。まず、我が国のストックと しての文化は、国際化・グロー バリズムの進展の中で必要とな るそれぞれの国(民族)のアイ デンティティの確立という型で 表われよう。グローバリズム (アメリカ化?)の発展に応じ 一層の各国々の存在理由を発 揮することが求められる結果 「伝統と文化を尊重し、それら をはぐくんできた我が国と郷土 を愛するとともに、他国を尊重 し、国際社会の平和と発展に寄 与する態度を養う」といった表 現が「改訂教育基本法第2条 (教育の目的)」に表記されるこ とになる。またフローの文化と して考えられるのは国運のユネ スコ(教育文化科学技術の専 門機関)のミレニアム開発目標 (MDGS)の中に取り上げられ ている「持続可能な開発」 (Sustainable Development)の 考え方が中核となる文化となろう。

 「環境と開発に関する世界委 員会(ブルントラント委員会)」 の報告書「われら共有の未来」 において、SDの概念は、「将 来の世代のニーズを満たす能力 を損なうことなく、今日の世代 のニーズを満たすような開発」 と規定されている。考え方の中 心に、今の豊かさを受け継ぐだ けでなく、将来の世代をもっと 豊かにするという考え方を重視 する。そこでは、歴史の時間軸 での衡平(equity)空間軸で の衡平(現在の世の中での衡平 さも大事)、生物種軸での衡平 (対人間だけではなく、対他の 生物にも衡平であるべき)を満 たす開発という考えを持つ文化 を育てることになる。世代間衡 平、地域間衡平、男女間の衡 平、社会的寛容、貧困削減、 環境の保全と回復、天然資源 の保全、公正で平和な社会など が持続可能性の基礎となってお り、環境保全、経済の開発、 社会の発展(ここでの社会は文 化の面も含めた広い意味で使用 される)を調和の下に進めてい くことが持続可能な開発という 考え方なのである。

 そこで求められる「個人像」 は「単に知識を網羅的に得るこ とだけではなく、地球的視野で 考え、様々な課題を自らの問題 として捉えて、身近なところか ら取り組み(think globally actlocally) 持続可能な社会づくり の担い手となる」意識を持つこ とである。SDを考えないでい ると「地球が存続しなくなる可 能性」がある。
 これから全ての人は、この文 化に参画することが求められ る。自調自考生どうだ。

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平成19年(2007)1月10日改訂