えんじゅ:207号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCXCVlll)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


   西暦二〇〇八年、 平成二十年、戊子 の年を迎える。
 戊は陰陽五行で 「土」性の「陽」。 万物を育む土が集 まった山や丘を象 徴する干支の五番 目。子は十二支の 一番目で「ふえる」 意味。種子の中に 新しい生命が芽生 える様子を表す。 動物では鼠が充て られる。
 新しい胎動と云えば、今国際社 会の抱える最大の問題の一つが、 スーダン 「ダルフール地方」 の武 力紛争である。国連史上最大規模 の兵力動員によって解決への努力 が展開しているが、解決にはほど 遠い。紛争のきっかけは、「地球 温暖化現象」による乾燥化によっ て牧畜を生業とする部族が農耕 地帯に侵入していったことから始 まった。これからの世界を象徴す る事件である。
 又、我国の来年度農林水産省予 算では「高温耐性品種」 の育成が 項目にのせられた。
 地球温暖化現象は、とうとうこ の段階に迄になったのだと改めて 考えさせられる。
 昨年のノーベル平和賞が、国連 の「気候変動に関する政府間パネ ル (IPCC)」とゴア前米国副 大統領に与えられたのはこれから の世界の問題を示しているのだ。
 昨年暮れ、インドネシアバリ島 でのIPCC第13回会議では今年 四回の特別作業部会を開き、@温 室効果ガス排出抑制策、A温暖化 が途上国にもたらす被害軽減策、 B排出抑制や被害軽減を目的とし た技術移転、C資金供与や投資の 強化、の4項目を中心に議論する ことを決めた。
 「地球温暖化は疑いのない事実」 で「温暖化による影響を悪化させ ない」よう、全ての先進国に「排 出削減目標を含む検証可能な排出 削減行動」を求め、途上国にも「持 続可能な発展を前提に、技術や財 政支援を受けた検証可能な方法」 で対応するとした「削減行程表」 が採択された。京都議定書では離 脱した最大の排出国の米国・中国・ 印度も含めた全ての国が二年間で 数値目標を含めた新たな削減枠組 みを作ることが決められた。
 温室効果ガスと云えば、昨年本 校で講演された住東大教授の指摘 にあったように、エネルギー面で 炭素に依存している社会経済シス テムを含めた技術革新改革が私達 に求められる。
 昨年暮れ、東京で開かれた「気 候変動と交通戦略シンポジユウ ム」でのスターン卿(ロンドンス クールオブエコノミックス教授) の「気候変動の経済学」講演によ れば、「温室効果ガスの削減は、 削減コストをはるかに上回る経済 効果を斎す」とともに「人類の一 員として次の世代に対する責任を 果たすという意識上の成果(経済 学倫理)」を挙げていた。教授に ょれば日本人英国人は今の年間CO 排出量11トンを2トン強に引き下げね ばならぬと指摘。大変な努力が必 要だが、講演の中での、チベット 高原の温暖化は中国印度の大河に 決定的影響を及ぼすとの指摘には 愕然とした。
 今年は北海道サミットの年。
 自調自考生諸君、どう考え行動 するか。  

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平成20年(2008)3月30日改訂