えんじゅ:208号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCXCVlV)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


    二月。如月。「日 脚伸ぶ」の季語、「光 の春」と云われる 時、渋谷幕張中学・ 高校は次の世代新 進気鋭の「自調自 考生」諸君を迎え た。
 そして三月。弥 生。日平均の気温 が五度以上となる 「植物期間」、植物 が芽生え、草木の いよいよ生い茂る 「いやおひづき」に 自調自考の二十三期生を送り出 す。
 冬薔薇の長き愁眉を開きけり
         有馬 朗人
 卒業生諸君の前途を寿ぐかのよ うに、記念講堂の前庭で、薔薇の 新春の薫りが稜都とたゞよってい る。
 ところで、二月十六日は、京都 議定書が発効した日であり、議定 書は〇八年から十二年迄の国際条 約でポスト議定書と云われる十三 年以降の温室効果ガス削減の国際 的枠組みについての議論が国連の 下ではじまっている。手始めとし て国連気候変動枠組み条約の下に 設けられている作業部会がバンコ クで三月三十一日から四月四日に 開かれる。
 主要論点のうち、「技術移転」 と「資金支援」から議論がはじま ると云われている。
 いよいよ、地球規模の議論で各 国それぞれの対応が決定されてい く風景が現実のものとなってきた。
 そして、今年の十二月十日は、 国連第三回総会で「世界人権宣言」 が採択され、全世界に向かって宣 明されて六十年目になる記念日に なる。
 宣言は前文以下三十条にわたっ て個人の諸種の基本的自由、労働 権その他経済的、社会的、文化的 な面における生存権的権利を細か く規定している。
 人類の熱望する自由と尊厳に実 質を与えたこの人権宣言により、 そこでせん明にされた、市民的、政 治的、経済的、社会的、文化的権 利といった諸条約を肉付けする国 際人権条約がこの六十年間で九 つ作成され、すべての国連加盟国 がそのうち一つは批准し、八割の 国が四つ以上の条約を批准してい る。
 さまざまな社会的、地域的な背 景をもった起草者グループが、人 類の普遍的原理としての「正義」 と「平等」の実現という目標を明 確にして法律、宗教、政治等の多 様な見地から「人類共通基準」と して提言したものがこの「世界人 権宣言」である。
 この宣言を支える普遍主義(全 世界に共通のものであると考え る) に対して、多様性、文化的特 異性、自由経済の推進を妨げてい るといった解釈で批判する動き も、今日ある。宣言に書かれた市 民的、政治的権利は、西洋社会の 伝統と課題に基づくもので広く世 界に共有されていないという考え を持つ人も少なくない。
 然し、法の下で人権を守り、強 めることは人類共通の義務であ り、何よりも優先的に追求されね ばなるまい。
 いよいよ、多様な国々、文化に 人類社会としての普遍的原理の適 用性が求められ議論される時代に なりつ、あることは間違いないで あろう。自調自考生どう考える。

 

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平成19年(2007)12月20日改訂