えんじゅ:213号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCIV)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


   平成二十年、一学期が終了し学 校は夏休みを迎える。  生徒諸君は、毎日の生活の主導 権を学校から取り戻し、一人一人 が自分の時間をどう使うかを決 め、そして行動する夏休みに入る。  こゝでとても重 要な文章を紹介し よう。
 「自然のまゝで は、人間はほとん ど考えない。考え ることは、ほかの すべての技術と同 じょうに、人間が 学んで身につける 技術で、しかも学 ぶのにいっそう骨 が折れることだ。 わたしは、男女い ずれにたいしても、 ほんとうに区別されるべき階級は 二つしかみとめない。一つは考え る人々の階級で、もう一つは考え ない人々の階級だが、このちがい が生ずるのはもっぱら教育によ るものといっていい。(ジャン・ ジャック・ルソー『エミール』今 野一雄訳より)
 生徒諸君の活躍する一一十一世紀 は「考える」ことが何より重要な 「知識基盤社会」であるとされる。 従って「考える力」を身に付ける 「教育」は今後一層重要な役割を 担うことになる。(ちなみにイギ リス人に対しての最高の褒め言葉 「He(She)thinks very well 彼 (彼女)はよく考える人だ)  この重要な役割を担う教育の一 分野である「学校教育」が休みに 入ることの意味をこゝで再確認 し、夏休み期間の過し方をよく考 えてみたい。
 人は「目的が最初にあって行動 をする生き者ではない。人にとっ て目的とは多くの場合、取った行 動に対して、脳が後から付ける理 屈のようなものなのである。脳の 働きから考えると、とりあえず行 動することが実は何よりも大切な ことのようだ。」
 この文章は、最近のある脳科学 者の脳の働きを分析し報告したも のである。
 となると、夏休みの過ごし方に ついて、大切なことは、夏休み中 の計画を考え立案することも大事 だが、毎日の過し方の「善い習慣」 を身につけることの方が重要なこ とになるのだろうか。  夏休み中は、毎日の善い行動の 積み重ねを「習慣」にすることの 大切さが実感出来よう。
 行動してこそ、思いもかけぬ成 果(実力) が身につくということ は歴然とした事実である。  どうぞ、この六週間の夏休みが 各自にとっての意識しての善い生 活習慣を身につけ、実行し、各自 の素晴らしい目標が成し遂げられ ることを心から期待している。  ところでこの「考える」ことの 重要性は、今欧州に「ポスト物質 主義」 の経済という運動を生み出 している。
 物質は所有され、他の使用を許 さないが、アイデアはひとに提供 されてもなくならず、何回でも使 用でき、そこから新しい経済価値 を生み出す。
 物質が溢れる一方、資源の有限 性が叫ばれ、地球環境の汚染が問 題となる今、物質主義からどう脱 却するかゞ、これからの私達の大 きな課題となるのだろう。欧州連 合(EC)における「欧州文化都市」 構想は古都グラスゴー(英) の美 事な再生につながり、今や欧州の みならず世界のポスト物質主義経 済の一つとして注目されている。  文化の多様性をどう生かすか な。
 

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平成20年(2008)9月22日改訂