えんじゅ:216号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCXTT)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


渋谷教育学園幕張中学高等 学校の二学期が終了する。
 冬休み後、登校する時は 二十一世紀の九年目となる。  そして、世紀末の混迷か ら抜け出て、二十一世紀の 胎動が、かなり はっきりした姿 =「知識基盤社 会 」Knowledge- based-societyと いう形になって あらわれてきた ようだ。
 昨年四月から、 京都議定書(1997 年) が定めた温 暖化ガス排出量 削減の取り組み が始まった。07年 のノーベル賞が、 「気候変動に関す る政府間パネル (IPCC)」 とアル・ゴア元副大統領に贈ら れたことなどで人類社会はこ こで一挙に大きな変化を見せ ている。
即ち、将来に向けての行動計 画、指針を科学技術者の手に委 ねるという行動をはじめたと 考えてよいであろう。
 例えば、ユネスコ (国際連 合教育科学文化機関)は、,08年 を「惑星地球の国際年」と定め、 国際連合の総会の議決で、地球 の現在かかえている多くの困 難に取り組むことを宣言して いる。
 「気候変動」=温暖化問題は その一つで、それ以外に急増す る人口問題=,50年に92億人に 達する=。そしてその急増が多 くは開発途上国でおこり、それ に加え、世界人口の半分が都市 に集中している現状がいよい よ加速する傾向がある。
 これにより、深刻な食糧危 機、水不足が問題となると考え られる。「水資源の確保」と効 率的配分が対策として考えら れねばならない。そしてエネル ギー資源の技術的利用を工夫 する必要がある。
 更には、地球上における生物 の多様性の維持という難問も 抱えている。
 こうした難問の数々の解決 にユネスコは、「地球科学」 の 知識と技術が役立つと考え、地 球温暖化対策と同じように「地 球科学者や政治家を含む政策 担当者」 の間での計画的、組織 的、包括的な対話が必要であ ると考えている。まさに、「科 学者の対話を将来への指針に」 が始まってきたのである。  日本で云えば、「日本地球惑 星科学連合(五万人会員)」や 日本学術会議の下に設置され ている「地球惑星科学会議」 の 活動が期待されるのである。
 先般、人類共通の世界遺産 の監視保護に日本の衛星「だ いち」が活用されるとのニュー スがあったがこれも科学技術 の貢献。
 これについて、昨年、日本で 育った四人の科学者がノーベ ル賞を受賞するという快挙が あった。宇宙に存在する物質の 最小構成部品を「素粒子」と呼 び、この宇宙の根源とも云う べき素粒子についての「知りた い」という知的欲求=好奇心を 持ちつづけて来て成立した「素 粒子物理学」 の分野で三人の 受賞枠を日本人が独占してし まったという沸く沸くする大 ニュースであった。科学技術の 本流とも云える物理学はこう した好奇心によって支えられ 発展した。どうやら、二十一世 紀「知識基盤社会」 の基を支え る力は、人の持つ限りない 「知 的欲求=好奇心」なのだ。
自調自考生諸君、どう考える。 。

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平成21年(2009)1月28日改訂