えんじゅ:216号
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「顔学」という学問分野があ
るのをご存知だろうか。占いの
類を想像されるかもしれない
が、そうではない。東京大学
でも真面目に研究されている立
派な学問なのである。十一月
十二日(水)の進路講演会では、
この顔学の第一人者であり、東
京大学大学院情報学環教授であ
る、原島博先生をお招きし、講
演をしていただいた。 | ||
進路の最終決定を目前に控え
た高校二年生を対象に催す恒例
のイベントである。
京都大学医学部人間健康科学
科一年の小山優美子さんは、発
表一番手の重圧と闘いながら、
「センター試験で大失敗し、止め
どなく湧いてくる絶望感に耐え
きれず、周囲に当たり散らす毎
日。ところが、ある日突然にそ
んな自分が子どもに見え、大人
にならなきやと自然に思えた。
その日から猛然とやる気が出て
きた」と赤裸々に語ってくれた。
一橋大学経済学部経済学科一
年の越村大督さんは、高校サッ
カー部の中心選手として、最後
まで勉強との両立に努力する
も、あと一歩及ばず。「妥協しな
いで浪人したことを、一度も後
悔したことはない。受験勉強は
孤独で辛いけれど、人間的に成
長する絶好のチャンス。別に浪
人をお薦めしているわけではな
いですよ」と笑いも誘った。
東京大学理学部地球惑星環境
学科四年の水鳥末那人さんは、
理科系大学生の定番ファッショ
ンの話で、一気に場の視線を引
き寄せると、映像を交え、東大
の表・裏を大公開。「何かに悩ん
でいる暇があったら、勉強する
か遊ぶかすべき」とのアドバイ
スに、校長先生も領いていた。
東京大学法学部四年で司法試
験に合格し、弁護士として活躍
中の末廣裕亮さんは、「今の仕事
は会社の将来やそこで働く社員
の人生を左右する。絶対にミス
が許されない」というシビアな
話に空気が引き締まる。陸上部
での六年間の経験に触れて、「一
つのことに頑張れる人は全部に
頑張れる。自分のために頑張れ
ない人が、どうして人のために
頑張れるのか」と静かに、そし
て熱く語ってくれた。
先輩の言葉は、どうしてかく
も自然に心に浸みるのか。会場
を後にする生徒達の目は、安堵
と確信に満ちていた。 | ||
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平成21年(2009)1月28日改訂