えんじゅ:226号


2009年度進路講演会
茂木健一郎氏「脳は天才だ」      


   十一月十八日に著名な脳科学 者・茂木健一郎先生を御招き致 しまして、進路講演会を開催し ました。本年度は従来の中学三 年生・高校一・二年生に加えて、 中学一・二年生にも対象を広げ、 保護者の皆様も多数御来校下さ いました事もあって、茂木先生 は幅広い世代層に向けて、多岐 多様の話題を提供して下さった 印象を受けました。  講演の冒頭、御自身の高校生 活等を振り返られて、「アスリー ト (の取り組み) と勉強 (する 事) は、類似したものであり、 @自分自身で課題・基準を設定  すべき事。 A課題がクリアできると、その  うれしさから分泌される脳内  物質ドーパミンが、分泌前の  行動を強化する。 Bしたがって今の自分の実力で  乗り越えられるかどうかの絶  妙の内容を設定していく事が  大切! と、早速生徒達の学習姿勢への アドバイスを下さいました。加 えて、問題を解くためには、日 頃から制限時間で区切る事、つ まりストップウオッチ等を使っ て自分にプレッシャーをかけ ながら全力・全速で取り組む 事が有効であると続けられま した。具体例として夏目漱石 が 『坊っちゃん』 を一週間で書 き上げたエピソード等に触れ、 ク天才″ の脳とはいかなるもの かを説かれました。また、茂木 先生の御専門である、自分を客 観的に見られる 「メタ認知能力 (Metacognitive Ability)」 につ いては、男女間が抱く好意に則 して説明されたため、思春期の 生徒達が思わず身を乗り出して 聞き入るような場面も見られま した。  他にも、アインシュタインの 「相対性理論」、先カンブリア時 代末期の地球全体が氷河に覆わ れていたとする「スノーボー ルアース (SnowballEarth) 仮 説」、百三十七億年前にあった とされる宇宙成立仮説「ビッグ バン (BigBang)」に言及され、 生徒達の科学的好奇心を沸き立 たせ、満たして頂きました。 一時間余りの講演の後、生徒 からの質問にも積極的にお答え になりました。「何故人間は緊 張すると百%の力を発揮できな いか?」 との質問に対しては、 前述のドーパミン分泌による学 習活動の活性化を、陸上の百m でジャマイカのボルト選手が驚 異的な世界記録を出したレース の様子を例に、集中かつリラッ クスしているフロー(Flow) 状態になれるよう、眼前の高 いハードルを低いと感じられる まで努力と経験を積んで実力を アップする事が肝要であると 答えられました。また、「宗教 と科学が対立しない道はある のか?」「人間の生きる意味と は?」といった質問にも、宇宙 や神の存在の多様なとらえ方 や、答えが出ないものへのすば らしさを訴えられる等、ク茂木 流″ コメントの数々で講演を締 め括られました。

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平成22年(2010)1月12日改訂