えんじゅ:233号


Be gentleman
(ウィリアム・スミス・クラーク)

進路部長 山ア



 進路室に居ると卒業生が訪ね て来る機会が多い。大学や大学 院に在籍している者、就職が決 まって報告に来てくれる者。何 となく母校に行きたくなったか らと、一期生が来たことも最近 あった。
 就職の報告に来た者達は皆 錚々たる会社に内定していた。 彼等は口々に言う、渋幕生は内 定率が良いと。どういうことか 尋ねてみると、同じ大学の友人 でも渋幕以外の友達は苦戦を強 いられ、渋幕出身者は善戦して いるというのだ。これは一体ど ういうことかと彼等は不思議な 様子であった。

 少ない例から全体を推し量る のは無理も生ずるが、彼等の言 うことに心当たりがないわけで もない。これも別の卒業生が言っ ていたことだが、ある有名会社 の人事担当者と面接を行った際 に、渋幕出身だと言ったら、 「ああ、あのユニークな教育をし ている学校だろ!」と間髪を入 れずに語りかけて来て、面接も 和やかに終わり、内定もいただ いたという例もある。だんだん と本校が世間から評価され、大 きく出れば渋幕出身者が必要と されてきている ということではないか。

 つらつら考えるに、コミュニ ケーション能力一つをとってみ ても、本校では校外研修などで、 見ず知らずの人との会話も、必 要に迫られてのこととはいえ、知 らず知らずのうちに体験する。 渋幕で何年間か過ごすというこ とは、その教育活動を通じてい つのまにか、社会で大事なもの が身についているということに なるのだ。
 学校の中に居ると、その良さ にはなかなか気づかないものだ。 卒業して外に出ると、すごい学 校にいたのだと、身をもって感 じるであろう。渋幕には細かな ルールがない。それは、高い倫 理感をもって、自らとるべき判 断を下せるだろうとの思いから だ。嘗てクラーク博士が札幌農 学校に教頭として招聘された時、 彼は「Be gentleman(紳士たれ)」 と一言発して、すべての校則を 撤廃したという。このユニーク な校風からは、後に国際連盟事 務次長になる新渡戸稲造、思想 家の内村鑑三等が巣立っていっ た。何となく今の渋幕と通じ合 うものを感じるのだ。






成長する夏を

生徒部長 菅野



 T君は中学二年生の夏に九州 まで自転車で一人旅をした。自転車 好きで、日ごろから自転車 店に集まる人たちとの交流を楽 しんでいた。そうした大人との つきあいを通し身につけたであ ろう、思いやりや気配りのある 生徒であった。彼は安全のため のルールを作り、親を説得し、 実行した。公園で野宿したこと もあったという。彼の行動力は、 もちろん素晴らしい。しかしそ れを認め、彼を送りだしたご両 親の決断には、子供を思うさま ざまな気持ちが凝縮されていた ことと思う。最近の世の中を思 うと、今も当時の決断ができる のかわからないが、ご両親が彼 の綿密な準備を見て認める気に なったことは間違いない。今、 彼は百貨店で食品の買い付けを 担当し、世界中を飛び回ってい る。あの行動力が今に結びつい ているのだと思う。

 K君は、友人らと中学三年が 終わる春休みに、阪神淡路大震 災でのボランティア拠点の一つ 鷹取教会に出かけ、現地での活 動に参加した。迷惑になること を心配したが、保護者同士で 連絡を取り合い、現地とも連絡して 送り出すこと に決めたとのことであった。多 くの人々と関わり大人として 扱われ、大きく成長して帰って きたのは言うまでもない。その 後、彼は医師として活躍し、今 後は医療行政にも目を向け、社 会のために働きたいと言う。

 子供の教育の主導権は家庭に ある。子供の成長を見つめてき たからである。これらの例は、 子供の成長を確信し、子供が飛 躍しようとした瞬間を逃さずと らえ、さらなる成長へ導いた好 例であろう。興味は子供の意欲 を高め、人生の設計にも大きな 影響を与えることがある。
 本校の生徒は、日々さまざま な活動に忙しく取り組んでい る。だからこそ、休業中には生 徒の皆さんの自発的な活動を期 待したい。さあ生徒諸君、日常 から抜け出し、周りに目を向け てみようではないか。





知能ロボットコンテスト参加



 中学電気部・高校物理部は、 毎年、仙台市科学館で行われる 知能ロボコンに参加している。大 学生や社会人・工業高校生が多 く参加する大会である。





 物理部 湯口(高3)

 ルールはボールを取りに行って そのボールをゴールに入れるだ け。されど、リモコン操作は禁止。 ロボットは自動で作業をしなく てはならない。人間には楽な作 業でも、ロボットには決して楽な ことではない。
 今回、5回目の出場にして、私 が後輩らと結成したチームで、 78チーム中わずか8チームの決 勝戦に進出することが出来た。
 ロボットを通じて感じたのは、 経験が大切だということ。ロボッ トは作ってもそう簡単に上手く 動かない。失敗の連続である。 私自身、挫折や悔しさを味わっ た。だから苦労の末、動いたロボッ トは感慨深い ものだ。貴重 な経験ができ て、電気部、 物理部と本大 会に深く感謝 している。



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平成22年(2010)7月20日改訂