えんじゅ:273号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCLXⅢ)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫

 

    七月、文月、八月、葉月。
   季節の移ろいをこまやかに取り入れた二十四節気では、夏至、小暑、大暑として、夏の季節を迎える。
   学校は夏の土用入りのころ夏休みに入る。旬の行事夏越の祓が多くの神社の境内で行われている。(茅の輪くぐり)。
   平成二十六年度一学期が終了。
   地区別父母との懇談会(前期報告書参照)、授業公開研究日、スポーツフェスティバル、メモリアルコンサート、そして中学校外研修(野田、鎌倉)、高一歌舞伎鑑賞教室、高二オペラ鑑賞教室で一学期は終了した。
   この時期七十二候では、「小暑末候鷹乃学を習う」となる。鷹のひなが巣立ちし、獲物を捕らえ、一人前になる時期と重なる。
   絶えず人いこふ夏野の石一つ

       正岡子規

   鷹ならぬ生徒諸君も、ここで毎日の生活の過ごし方の主導権を学校から取り戻し、一人一人が自分の持ち時間をどのように使うかを自由に決める夏休みに入る。毎日、ほぼ十五時間余。期間は六週間。総計六百三十時間。この時間どう過ごすか。
   毎年伝えているが、この夏の過ごし方によって二学期以降さらにその先迄を含めた学校生活に大きな影響を齎すものであるから充分に自覚自重して、実りのある六週間にしてほしい。
   近年米国で『長寿と性格』として出版された研究書に大変面白い内容が紹介されている。
   一九二一年から当時十才前後だった子ども達約千五百人を生涯にわたって追跡調査した研究である。これによると最も長生きした人は、子どもの頃からまじめな人であった。何事も慎重に考え、喫煙や深酒といった健康にリスクのある行動はとらない。そのうえ真面目で勤勉だから他の人に信頼され、職場で満足できる仕事をしている人が多い、とのこと。逆に明るい楽天家は不健康な生活習慣に陥りやすく「これくらいなら大丈夫」という安易な楽観が災いするようである。この本では、長生きのカギを握る性格は「勤勉性」であると述べている。(日本が長寿国である理由かも。)
   「習慣は第二の自然である」(モンテーニュ)、「努力によって得られる習慣だけが善である」(カント)、そして「若いうちは何かになりたいという夢を持つのは素晴らしい。しかし同時にもっと大切なこととしていかに生きるかということがある。日々の行いを選び積み重ねること、その努力こそが良い習慣を身につけさせ、人生の行方を決める」(串田孫一、詩人、哲学者、随筆家、山の随筆が有名)
   いろいろ云われるが、やはり真面目にこつこつ取り組み良い生活習慣を自分のものにすることこそ人生を実りのあるものにする為の基本であろう。
   そしてこの夏、学校だけでは得られない読書尚友という言葉が意味するような望ましい人との繋がりが出来るかもしれない。運動に勉強に。限られた自分の時間を最も有効にそして充実したものにしよう。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ではないが、それぞれ自分の時間をしっかりマネジメントしてほしい。
   自調自考生よ。考えよう。


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平成26年(2014)8月28日改訂