えんじゅ:288号  


第三十一期生卒業

 

タイム・オーバー
高三学年主任 高橋


 共に過ごす残り時間がいよいよゼロとなってしまった。今後は異なる時間を過ごしながら、関係性を維持・発展させていく未知なる世界へと駒を進める。卒業を表すcommencementが、同時に「始まり」の意味を持つことも、今ならば合点がゆく。  これからの社会において、全体主義、同調圧力、加えるならばポピュリズムは、多様性に不寛容な点において忌み嫌う存在といえよう。今まで以上に自己決定と多様性が喧しく求められる時代。私は常々、正しく判断できるように先々を見通す炯眼を養うよりも、選んだ道が正しかったとするための後々の努力の方が大切であると信じている。  贈り物を表すpresentは、「今」という意味も持つ。今ある喜びを運んでくれた縁ある人への感謝と慈しみも忘れずに。