えんじゅ:295号  


研修特集号

 

高一 広島研修


 今年度は十月十三日から十五日までの二泊三日の日程で行われた。事前の準備では、研修係と有志によって、核兵器の仕組み、放射線、原子力発電と事故、軍都広島など多様なテーマの研修だよりが発行された。加えて去る五月二十七日にはオバマ米国大統領の広島訪問とそれに伴う様々な報道もあり、多くの刺激を受けつつ事前の準備に取り組むことができた。  初めての研修となるgグループの生徒達は行程表作成に苦労しながらも、どの班もよく練られた行程を完成させた。  初日の夜には、下畠準三さんをお招きして被爆体験のお話を拝聴した。原爆投下の当夜に被爆・負傷した軍人をトラックの荷台から下ろし、一晩中お世話をしたことなど原爆投下直後のご体験の他、軍事教練や学徒動員など戦時下の日常生活にも言及された。どのお話も当時の中学生の視線から客観的にお話していただき、その世界に引き込まれた一時間となった。  班別研修では、平和資料館をはじめ本川小学校など市内の被爆関連施設のほか、呉・江田島・大久野島などを訪問する班もあり、原爆投下および被爆にとどまらない複眼的な平和学習となった生徒も少なくなかった。  また宮島・尾道・鞆の浦などに足を運んだ班も多く、渡船を通学や買い物といった日常の足とするなど、海と深く結びついた瀬戸内の人々の暮らしを肌で感じた班もあった。  緑豊かな平和公園の地が、かつて商店が軒を連ねる繁華街であり、人々の日常があったとは現地に赴いてもなお想像し難い。それでも過去に向き合い、世界の現状に視野を広げ、平和・戦争・人間について考える営みを続けて欲しい。
 

中三 奈良修学旅行


   「とにかく楽しい研修としよう!」をコンセプトに、今年の奈良研修はスタートした。もちろんそれは「知的に楽しむ」ということ。そのために必要なことは、しっかりとした事前学習。多くの生徒がそれを理解し、実践してくれたと思う。  実施は、十月十一日から十四日までの三泊四日。十月上旬にしては少し肌寒さが感じられたが、概ね好天に恵まれた四日間であった。   初日は京都駅に集合。大きく遅刻する生徒もおらず、順調なスタートとなった。多くの班は、今回行動範囲に組み込んだ、宇治を経由して奈良へ入った。夜は学年全体で燈花会を実施。夜の奈良公園に、クラスごとに思い思いのデザインで灯がともされ、幻想的な光景が広がった。  二日目と三日目は終日の班行動であった。この学年はなぜか歩くことが好きで、研修委員企画の「朝の散歩」が朝食前に実施された。また、教員の引率のもとに行った「若草山ハイキング」にも、百名を超える参加者がみられた。体験学習も自分たちで探して予約した班が多く、生徒の積極性が感じられた。夜は、ならまちセンター等でクラスごとに、演劇鑑賞、法話、レクを行い、クラスの親睦を深めるいい機会となった。  四日目も大きなトラブルもなく、京都駅に集合することができ、名残り惜しさを感じながら、帰路についた。  しかし、今年の研修はこれでは終わらない。十一月には講堂で学習の成果を発表する場を設けた。この経験が、高校に進学してからの自調自考論文やSGHに生かせればと願っている。