今年度は十月十三日から十五日までの二泊三日の日程で行われた。事前の準備では、研修係と有志によって、核兵器の仕組み、放射線、原子力発電と事故、軍都広島など多様なテーマの研修だよりが発行された。加えて去る五月二十七日にはオバマ米国大統領の広島訪問とそれに伴う様々な報道もあり、多くの刺激を受けつつ事前の準備に取り組むことができた。
初めての研修となるgグループの生徒達は行程表作成に苦労しながらも、どの班もよく練られた行程を完成させた。
初日の夜には、下畠準三さんをお招きして被爆体験のお話を拝聴した。原爆投下の当夜に被爆・負傷した軍人をトラックの荷台から下ろし、一晩中お世話をしたことなど原爆投下直後のご体験の他、軍事教練や学徒動員など戦時下の日常生活にも言及された。どのお話も当時の中学生の視線から客観的にお話していただき、その世界に引き込まれた一時間となった。
班別研修では、平和資料館をはじめ本川小学校など市内の被爆関連施設のほか、呉・江田島・大久野島などを訪問する班もあり、原爆投下および被爆にとどまらない複眼的な平和学習となった生徒も少なくなかった。
また宮島・尾道・鞆の浦などに足を運んだ班も多く、渡船を通学や買い物といった日常の足とするなど、海と深く結びついた瀬戸内の人々の暮らしを肌で感じた班もあった。
緑豊かな平和公園の地が、かつて商店が軒を連ねる繁華街であり、人々の日常があったとは現地に赴いてもなお想像し難い。それでも過去に向き合い、世界の現状に視野を広げ、平和・戦争・人間について考える営みを続けて欲しい。
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