えんじゅ:315号  


 

 

自然を受け止める
中学教頭 添田


 日本は実に災害の多い国である。地震や大雨で多くの人たちが命を落としている。ある日突然ふりかかる自然の猛威は、どんなに科学が進歩しても避けることはできない。だからこそ、その猛威について学ぶ必要がある。猛威の避け方、減災という考え方を、さらに被災者としての生活をどのように送り、どう生活を再建するかということを真剣に。今後は、高齢化で老人が、観光や就労で外国人が増えるのは明らかである。このような人々とともに災害を避け、生き延びることは決して容易ではない。しかし、今、この問題を先送りしないで考えるべきだと思う。年頭所感としては面白みに欠けるが、今年はこれを考え続けたい。家族と友人、そして学校の生徒たちと同僚のために。
 

進路は自ら切り拓こう
中学教頭 菅野


 最近は、卒業生が講演や特別授業に来てくれます。保健授業に来てくれるK君は小児科医です。昨年の来校後に、日本経済新聞に記事があり、彼が児童虐待にも取り組んでいることを知りました。彼らしいなと思いました。  中1の頃の彼は、やや落ち着きがなく、屁理屈も言う普通の生徒でした。その彼が、阪神淡路大震災の直後に、現地ボランティアに友達と参加すると言い出したのです。まだ中学生なのでとても心配しました。彼は親を説き伏せ、拠点となる鷹取教会とも連絡を取り、すぐに動き始めました。その後、彼は医学を志します。経験を通して進路を自分で決めたのです。  社会に貢献する意欲にあふれた生徒が巣立つ姿を見るために、今年も頑張ろうと思います。
 

君達に望むこと
中学一学年主任 深澤


 謹賀新年。たかが2週間と少しですが、年末年始の喧騒を挟む冬休みは、密度は濃いものだったでしょう。更に1年前の冬休みと比べてみた感慨もあったでしょう。後輩達の足音も近づいて来ました。4月の入学以来、日々変化し続けてきた君達ですが、今年はその変化の「速度」が増すでしょう。日々の授業で学ぶ事、中心として活動する部活、新しい交友関係等、君達を変化させる材料は様々に存在します。日常の学習を表面的な点取りに終わらせず、それを学ぶ意義や「本質」をつかむ習慣はますます必要になります。するとわからなかった事がわかる悦びを感じる場面が増えるはずです。音楽美術映画読書等を通して「本物」に触れる習慣も君達を変化させます。
 

新しい時代に向けて
中学二学年主任 後藤


 新年あけましておめでとうございます。新しい年を迎え、新たな気持ちで、今年の目標を立てたことと思います。その目標をかなえたいという強い想いを持ちましょう。その想いがあるからがんばれるのです。  さて、今年は改元が行われます。新しい元号の発表はまだ先ことですが、「平成最後」という言葉がよく使われているように、日本では一つの時代が終わろうとしています。その一方で、新しい時代への期待が高まってもいます。新しい元号になることが新しい時代への幕開けと考えるからです。皆さんは新しい時代の担い手になります。自分の力が発揮できるようにするためにも、学業に励むなど日々の生活を大切にし、さらに自分を成長させてください。
 

一歩を踏み出す年に
中学三学年主任 本村


 1㎏は、これまでの約百三十年間、国際キログラム原器と呼ばれる精密な分銅と天秤でつり合う質量と定義されてきたが、今年の五月二十日に新しい定義へと移行される。日常生活にはほとんど影響はないが、質量の測定が分銅の整数倍という制約がなくなり、ナノテクノロジーの進展に貢献するであろう。また、人工物による基本単位の定義が完全に姿を消すことで、人類の視野が地球という局所的な空間から解放され、一気に宇宙へと広がることを予感させる。  この春、みなさんは高校生になる。変化の激しい時代に活躍する人材となるための準備も最終段階に入る。さて、「自分史」の作成を通して定めたスタート地点から、どのような一歩を踏み出そうか。