| 国際教育室より |
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近年の槐祭を見ていると、その雰囲気や
取り組む生徒諸君の表情が、かつてとは
変わってきているように感じる。当日が
近づくにつれて目の色が変わってくると
いうか、物が憑いたようになるというか、
そういった非日常の時間がおのずから
演出される高揚感が稀薄になって、よく
言えば落ち着いた静かを空気を感じること
が多い。
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そういう「静」の空気を漂わせる企画と
して、今回で言えば、たとえば、縄文の
住居の再現と展示が、目新しくもあり興味
深い企画として印象に残った。
教室に入ると、現代人の高校生が壁の
展示物の説明をしながら丁寧に案内して
くれて、やがてズボンをはいた縄文人と
出会う。
教室の中に教壇で「地面」を作り、
その地面から一段下がったところに床が
くるかたちで築かれた竪穴式住居は、
材木で組んだ骨組みに藁を葺いたもので、
かなりリアルな再現であったように思う
(筆者は、出雲の「風土記の丘」にある
再現展示を見学したことはあるが、専門家
ではないのであまり詳しい考証はできない
が)。住居をのぞくと、イノシシを
あぶっているセロハンのたき火の炉辺に
仲間として(?)招いてくれる。
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| 美術部・美術授業作品 |
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| 竪穴式住居(3年F組) |
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| ディベート練習風景 |
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| クールな写真館 |
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また、ここ数年本校が全国レベルでの
活躍目覚ましいディベートも、幕張総合
高校の皆さんを招いての企画があり、
これもまた静かな(いや、にぎやかかな?)
盛り上がりを見せていた。
一方、いかにも「動」の企画としては、
バザーだった。バザーをフリーマーケット
に演出すること自体は今回が初めて
ではないが、新しかったのはサブ企画と
してのオークションだ。ライトコートに
品物を並べ、威勢のいい生徒達が四方の
窓から見下ろす客相手に、「ハイ!2百円
から!」などと始め、これが居合わせた
ものを巻き込み、聞きつけたものを引き寄せ、
という具合で、いやおうなしに盛り上げて
いく。あの活気を演出しただけでも、立派な
ものだが、それを品物完売に結びつけた実績も
また大したものだった。
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以上、とくに目にとまった物から選んで
取り上げてみたが、もちろん、ほかにも
例年のように各クラス、各団体の諸企画の
なかにも見るべきものは少なくなかったし、
雨天で中止になることの多かったサッカーの
招待試合も、今年は千葉黎明高校の皆さんを
迎え天候に恵まれた。
「静かさ」は知的で落ち着いた雰囲気のこと
であって、本校のある意味での成熟の
あらわれかもしれない。しかし、文化祭と
いうものが、やはり「祭」であり、ある種の
熱狂をもって「文化」の背景にある「神」
(大いなるもの)に触れることであると
するならば、この成熟を生かしつつも、
「祭」としての演出を考えることが必要な
時期に来ているのかもしれないと思う。
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