えんじゅ:120号

槐  祭  −−文化の部−−

〜 ! 意外性を求めて 〜
高  校

(9月12日(土)・13日(日))

国際教育室より

近年の槐祭を見ていると、その雰囲気や 取り組む生徒諸君の表情が、かつてとは 変わってきているように感じる。当日が 近づくにつれて目の色が変わってくると いうか、物が憑いたようになるというか、 そういった非日常の時間がおのずから 演出される高揚感が稀薄になって、よく 言えば落ち着いた静かを空気を感じること が多い。

そういう「静」の空気を漂わせる企画と して、今回で言えば、たとえば、縄文の 住居の再現と展示が、目新しくもあり興味 深い企画として印象に残った。
教室に入ると、現代人の高校生が壁の 展示物の説明をしながら丁寧に案内して くれて、やがてズボンをはいた縄文人と 出会う。 教室の中に教壇で「地面」を作り、 その地面から一段下がったところに床が くるかたちで築かれた竪穴式住居は、 材木で組んだ骨組みに藁を葺いたもので、 かなりリアルな再現であったように思う (筆者は、出雲の「風土記の丘」にある 再現展示を見学したことはあるが、専門家 ではないのであまり詳しい考証はできない が)。住居をのぞくと、イノシシを あぶっているセロハンのたき火の炉辺に 仲間として(?)招いてくれる。

美術部・美術授業作品

竪穴式住居(3年F組)

ディベート練習風景

クールな写真館


また、ここ数年本校が全国レベルでの 活躍目覚ましいディベートも、幕張総合 高校の皆さんを招いての企画があり、 これもまた静かな(いや、にぎやかかな?) 盛り上がりを見せていた。

一方、いかにも「動」の企画としては、 バザーだった。バザーをフリーマーケット に演出すること自体は今回が初めて ではないが、新しかったのはサブ企画と してのオークションだ。ライトコートに 品物を並べ、威勢のいい生徒達が四方の 窓から見下ろす客相手に、「ハイ!2百円 から!」などと始め、これが居合わせた ものを巻き込み、聞きつけたものを引き寄せ、 という具合で、いやおうなしに盛り上げて いく。あの活気を演出しただけでも、立派な ものだが、それを品物完売に結びつけた実績も また大したものだった。


以上、とくに目にとまった物から選んで 取り上げてみたが、もちろん、ほかにも 例年のように各クラス、各団体の諸企画の なかにも見るべきものは少なくなかったし、 雨天で中止になることの多かったサッカーの 招待試合も、今年は千葉黎明高校の皆さんを 迎え天候に恵まれた。

「静かさ」は知的で落ち着いた雰囲気のこと であって、本校のある意味での成熟の あらわれかもしれない。しかし、文化祭と いうものが、やはり「祭」であり、ある種の 熱狂をもって「文化」の背景にある「神」 (大いなるもの)に触れることであると するならば、この成熟を生かしつつも、 「祭」としての演出を考えることが必要な 時期に来ているのかもしれないと思う。


えんじゅ表紙へ

学校表紙(もくじ)へ


平成10年(1998)10月9日改訂。