えんじゅ:124号
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須藤博文 裁判長という立場から実感した。本当に人が人のしたことへの処分などしてよいのか、と。 判決を下す者だって神ではない。絶対に正しい判決などないのでは、と思う。 今回の模擬裁判で、被告人は無罪になった。これは事件の際の状況や被告人証人への信頼性、 様々な方向からしつかりと考えた末に判事の五人ともが、「被告人は無罪である」と結諭を 出したのだ。弁護士の先生方によれば、裁判官は裁判までの時間の中で先入観が生じぬために 配慮し、当日まで事件の概要を知らないという。それを聞いて、裁判官というのは、大変な 職業だと思った。一言も聞き逃すことができず、面識もない人の運命を変えてしまう恐れさえ あるのだから。 この裁判で悔しく思ったこと。一つは、異議がでた際にあたふたしてしまったこと。 もう一つは、判決の文面が難しく何を言っているのか分からなかったことだ。 弁護士になるのが夢だ、などと思ってる白分だが今回のことで、勉強不足かつ臨機応変に 動けない現実をみせられた。だから、法津をもっと勉強してどんなことにも正確に対処できる ようになりたい。 少し大げさかもしれないが、この世の中に白黒がはっきりしてることは少ない。間にある灰色の ことをも考えるのが裁判だ。こんなふうに考えさせられることが、模擬裁判を通しての、とても 大事な経験になった。
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