えんじゅ:167号

キラリ卒業生
〜大腸癌形成機序研究、世界で評価される〜
京都大学大学院医学研究科在籍  青木さん(9期生)


 2003年11月17日付朝 日新聞に、青木氏が中心となった 研究の記事が掲載されました。そ の青木氏に、今回の研究について 一文をお寄せいただきました。


 僕は、京都大学大学院医学研 究科(武藤教授)にて、大腸 癌及びその他の臓器癌治癒戦略 の開発を最終目標として、それ らの癌形成機序の研究をしてい ます。本研究では大腸の上皮細 胞の恒常性維持に重要なCDX2 遺伝子が癌抑制因子として働く ことやその機構として染色体分 配異常を誘導することなどを遺 伝子改変動物や培養細胞を用い て解明し、ネイチャージェネ テイクス(米国雑誌)に発表し ました。本研究と引き続きの解 析により、癌悪性化進行におけ る機序解明が期待されると思い ます。

 上記研究には5人の研究者が 携わりましたが、僕は東京大学 大学院から3年半を費やしまし た。僕が本研究を始めて1年程 経過したときには、未解決問題 の山でしたが、いくつもの可能 性(仮説)を考え、実験を行い、 1年程経ったときヒントを見い だしました。さらなる2年の研 究により詳細な機序解明に成功 し、発表へと至りました。今回 が僕にとって初めての本格的研 究でしたので、研究を通じたく さんのことを学びました。研究 の進展は僕の成長そのものだっ たと言えるかと思います。勉強 や実験に加えて、ノーベル賞受 賞者を含む国内外の第一線の研 究者との議論や国際学会などを 経験し、研究に魅了されるよう になりました。

 僕にとって今回の研究は始ま りに過ぎません。単なる基礎研 究に留まらず、ひとの病気が治 せるように、これからの研究に、 常に前向きに全力で、諦めるこ となく、そして研究者としての 好奇心をもって頑張りたいと思 っています。


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平成16年(2004) 1月 9日改訂