えんじゅ:170号校長先生講話 |
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「自調自考」を考える(そのCLXII)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
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三月、二十一世紀四年目の今渋谷教育学園幕張高等学校第十九期生が卒業した。 そして本校も人間が成人となる期間である二十年の歳月を閲し、「価値ある活動」 はいよいよその二十一年目に入っている。 年を以て巨人としたり歩み去る 虚子 ところで、先月文化庁文化審議会国語分科会より、二年に沿り検討された答 申が公表された。 「国語の重要性について再確認し、その上で、これからの時代に求められる国語力とは何か、 またそのような国語力を身につける為の方策」などについて検討した結果の答えが明らかにさ れた。私もこの審議会の委員の一員として参加したので、ここで概要を説明したい。 まず「国語の果たす役割と重要性」 について、母語としての国語という観点から@個人に とって、A社会全体にとって、B社会変化への対応と国語と三点で整理した。個人にとっての 国語の果たす役割は 「知的活動の基盤」「感性・情緒等の基盤」「コミュニケーション能力の基 盤」として、生涯を通じ、個人の自己形成にかかわる。 次に社会全体にとっては、国語は文化の基盤であり中核であり、従って文化の継承、創造発展 は国語によってなされる。社会変化への対応に関しては、価値観の多様化、都市化、少子高 齢化、国際化、情報化など社会の急速な変化に対応する為にも国語の役割は重要である。以上 の認識の下、望ましい国語力の具体的目安として、その人の生涯にわたって発達するものとし て、「開く力・話す力・読む力・書く力」を具体的に示し、「考えるカ」「感じるカ」「想像 する力」「表す力」の基盤となる国語力を確認している。そしてこうした国語力の向上という 課題は、基本的には一人一人個人的な問題であるが、国語の重要性・国語を大切にしようとい う意識が国民の間に共有されることでのみ解決出来るとしている。そして「国語力向上の具体 的方策」として、@国語教育A読書活動を挙げそれぞれにつき具体的提案を示している。 年齢発達段階に応じた国語教育の展開を通して、「自ら本に手を伸ばす子供」を育て、その 子が親になった時、望ましい国語教育が実現するというような、長い目で考える提言がなさ れている。国語(日本語)は大切にしたい。 先般「分類語彙表」 (国立国語研究所編) が増補改訂され、発売された。言葉を意味によっ て体系的に分類した辞書で、英語圏の国では 「シソーラス」(THESAURUS)と呼ばれ、そ の辞典は各家に一冊備えられているそうだ。例えば食物を食べる表硯では、「ぱくばく」、「が つがつ」「むしゃむしゃ」「もぐもぐ」等があることがこの語彙表でわかる。日本語の繊細で奥 行きの深いことが感ぜられる。 又日本語の原初的エネルギーを伝えると言う真言声明、天台声明を最近聞く機会があった。 平安時代日本文学は声に出して鑑賞され伝えられたという。 いやいや!日本語は奥が深い。
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平成16年(2004) 5月 10日改訂