えんじゅ:175号校長先生講話 |
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「自調自考」を考える(そのCLXVII)幕張高等学校・附属中学校校長田 村 哲 夫 |
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秋酣、霜月。 春のようにおだやかで暖かい小春日和(インディアン・サマー) が一転寒さと共に霜が降り雪の舞う月。冬は目前。 この時期、米国では"Trick or treat"と云って楽しく近処に菓子を ねだって廻る"Halloween"が終り、十一月の第四木曜日収穫感謝の日""Thanks-giving Day" を過ごす時期である。 日本でも、秋のこの時期、五穀豊穣を祝う「秋祭り」 が各地で催され、その後日本各地の神々は出雲地方 (今の島根県の一部)に集まると云う。 旧暦十月(今の十一月)を神無月と云うのほこの為である。 そして全ゆる生物の活力が失われ、その活力を人間に吹き込む為の神事"霜月祭り" が日本各地で行なわれていた。自然との調和のなかで出来たこの日本古来の行事に似て、 学校でも二学期は一年の収穫を祝うかの如く、学園祭、修学旅行が実施され、 学校生活に一層の活力を吹き込むことが計画実施されていく。 高二生は、日本文化の淵源を訪ねての中国=北京・西安・上海の旅。 これは、中三の奈良研修の仕上げの意味も持つと考えている。 そして高一生の広島平和研修、中二会津若松研修、中一鴨川研修 それぞれに相応した課題の下充実した成果を齎している。 ところで、この時期には、生徒諸君の「知的生き甲斐」を求める 「読書」の週間が催されている。第二次大戦後、新世日本、文化国家としての出発を期して、 始められた行事=読書週間は文化の日の前後二週間。今年の標語は「落葉を栞に読書の秋」。 「読」の原義は「声を出してよむ」ということだから、書物は元来音読するものであったはずである。 西洋でも、古くは音読が普通であった。この点では洋の東西を問わない。 近年人間の脳の研究の進歩が著しい。共に日本人の研究者が開発 した技術、@光トポグラフイー(頭骨を透過するレーザー光で瞬時に脳活動を画像化する) A機能的MRI(核磁気共鳴映像法)によって、脳活動の映像化が可能となり、これ迄調べようがなかったことが はっきりと分かって来た。 こうした研究(川島隆太教授)によると、「脳トレーニング」が脳活動には不可欠のものであることがはっきりしてきた。 「人問の脳の特徴は、前頭葉が大きいことだ。この前頭葉は他の身体の部分と同じで、トレーニングによって強化される。 つまり脳にジョギングさせることで、その機能を高める。」とした上で、 「脳を鍛える為のトレーニング法として、@本を音読する。A簡単な計算を速く解く。B漢字を書く。」 の3つの方法が明示されている。 宋時代に活躍した中国の朱喜(朱子学の祖)は、自ら主宰する学校の学則で一字一字をはっきり 音読しそれを何度もくり返すことを求め、読書「三到」を実行するよう教えている。 「心到」(心を集中する)、「眼到」(目を集中する)「口到」(口を集中する)。 やはり音読の効果か。せっかくの「読書週間」。少しは難しいものに、音読で取り組んでみたらどうだろう。
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平成16年(2004)12月1日改訂