えんじゅ:177号


若葉のパンセ


やりたいことを見つけよう     理科 松尾

約四年前、私は東京・水道橋 にあったカンダパンセホールの 舞台に立っていた。その時私は 大学四年で、卒業研究の真っ最 中。多忙な毎日を送っていたは ずだった。それがなぜ舞台にい たのか、そしてなぜ今、化学を 教えることになったのか。その 経緯を少しだけ話してみよう。

私にはそれまで演劇部の経験 もなかったし、芝居をやってみ たいと思ったこともなかった。 部活は、中学の時はテニス部 (軟式)、高校では物理部(主な 活動は天文)だった。部活とは 別に、高校の時にF1にはま り、自動車の魅力に惹かれて大 学は機械工学を目指した。現役 では目標に届かなかったが、一 浪して第一志望の国立大学に合 格した。しかし、合格したのは 第二希望で書いた化学系だっ た。私立(機械)にも合格して いたが、化学系のまま国立に進 学することを選択した。これが 化学の道へ進むきっかけとなる が、この時点では教員になるこ とは全く考えていなかった。大 学に入ってからは、自動車にこ だわらず、エンジニアになろう と思っていた。ただ漠然と…。

大学では、少しは運動もしよ うと思ってソフトテニス部に 入ったが、一年で辞めた。その 後の二年はアニメーション研究 会に所属していた。映画もたく さん観た。演じることに興味を 持ち始めたのはこの頃だった。 将来、映画や演劇の世界で生き ていけたらいいのにと考えるよ うになった。そして、ある劇団 の養成所(ワークショップ)の オーデイションを受けて合格し た。週一回だったが、二年間、 発声、演技、ダンス、日舞、殺 陣、歌唱と色々な勉強をした。 そして、三年目から半年毎に舞 台発表をすることになり、カン ダパンセの舞台に立つことに なった。

大学四年になると進路を決定 しなければならない。進学する か就職するか。演技の世界で生 きることは諦めていた。経験し てみてわかった。好きだけど自 分にはできないことだと。けれ ど、どこかの会社にエンジニア として就職するのも自分が本当 に望んでいることではない気が した。そのとき一番頑張ってい たこと、楽しかったことは、塾 でのバイトだった。私は、人前 で話すのも人に観られるのも得 意ではないが、人に対するやさ しさや思いやりは大切にしたい と思っている。教員になろうと 思ったのは、そういった気持ち があるからだった。教員という 目標を持てた私は、免許を取る ために進学の道を選んだ。苦労 も多かったが、何とか今渋幕の 教壇に立っている。

大切なことは、自分が本当に やりたいことを早く見つけるこ とだと思う。それだけで、人生 は大きく変わる気がする。

えんじゅ表紙へ

学校表紙(もくじ)へ

平成17年(2005)1月19日改訂